2020 Fiscal Year Research-status Report
Environmental factors controlling accumulation of refractory components of macrophyte contributing to an increase of carbon sequestration to the ocean
Project/Area Number |
19K12295
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
梅澤 有 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50442538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 誠 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50612256)
堀川 祥生 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90637711)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 海草藻類 / 構造物質 / 忌避物質 / 炭素貯留 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、異なる①海洋環境下、及び、②培養条件下の藻体を用いて、天然・人工藻場で代表的な海草藻類(アマモ、褐藻類)組織内の難分解性物質や忌避物質の蓄積量の違いを、調べ、③その蓄積量の違いが分解特性に与える影響を培養実験で確認することを目的として調査・研究を進めてきている。2020年度は、コロナ禍での調査出張が難しい実情があったため、研究協力者に採集していただいた海草・海藻試料を用いた化学分析・培養実験を行うことで、研究の推進を図った。本年の調査・研究からは、下記の成果により、窒素供給環境の変化が、固定された有機物の分解という側面において、複合的にブルーカーボン特性に影響を及ぼすことが明らかとなった。 1) 陸域草本用の携帯式簡易窒素計を応用すると、葉の特定部位を選ぶなどの条件をつければ、アマモ葉中の窒素含有率を簡便に推定できる。 2)海草類アマモ葉中の窒素含有率は個々の藻場の窒素供給環境を反映し、忌避物質の1つと考えられる葉中のフェノール量については窒素供給量に対して負の関係がある。 3)難分解性有機物は種・部位毎に含有量が異なり、特に褐藻類では構造性物質は葉部に対して茎部に多く、フェノール性忌避物質は茎部に対して葉部に多い傾向がある。 4)褐藻類カジメを培養させた結果、茎部に対して葉部の残存率が高かったことから、微生物分解に対する対応力は、構造性物質と比較してフェノール性忌避物質が有効に作用する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍での調査出張が難しい実情があったが、研究協力者に採集していただいた海草・海藻試料を用いた化学分析・培養実験を行うことで、研究の推進を図ることができた。研究成果の一部は、学会発表を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、下記の点に注意を払って調査・実験を継続予定である。 1)これまでの実験・調査では、栄養塩条件(窒素供給環境)に着目して構造物質や忌避物質の量を調べてきているが、現場の物理環境にも着目をして調査を行う。 2)これまでの実験・調査では、固定された有機物の分解の観点からの炭素固定量評価を行ってきているが、様々な環境下での13C取り込み実験を行い、生産性という面での実験・調査を組み合わせて考察していく。 3)低濃度の忌避物質の定量を簡便に行うための高感度分光分析のシステムを立ち上げて解析を進めていく。 4)得られた成果を論文にまとめていく。
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Causes of Carryover |
年度末にゼロ合わせのための無駄な消耗品の購入を避けたことで、少額の繰り越しが生じている。次年度も、当初の予定通りの消耗品購入、調査旅費としての予算執行を行う予定である。
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Research Products
(3 results)