2019 Fiscal Year Research-status Report
Developing a climate model with an ice-shelf component
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19K12301
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
草原 和弥 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), 研究員 (20707020)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 南極棚氷底面融解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、気候モデルに棚氷要素を導入し、その新要素を含む気候モデルを使って、氷床/棚氷-海洋-海氷-大気相互作用を明らかにすることである。棚氷とは、海洋にせり出した氷床の部分で、氷床-海洋相互作用(淡水と熱の交換)が正にある場所である。しかしながら、現在の気候モデルには、棚氷要素はなく、単に極域の陸地格子として表現されている。氷床は莫大な淡水リザーバであり、温暖化に伴う地球環境変動・海面水位上昇をよりよく評価・予測するために、気候モデルへの氷床/棚氷-海洋相互作用部分の導入が必要不可欠である。本研究は、棚氷-海洋相互作用プロセスを全球海洋モデル/気候モデルに導入し、気候システムにおける氷床/棚氷-海洋相互作用の役割解明を目指すものである。研究計画実行にあたり、三つサブ課題を設定する。 ■課題1「全球海洋海氷結合モデル(COCO4.9 tri-polar grids)への棚氷要素の導入」 ■課題2「気候モデル(MIROC)への棚氷要素の導入と中低緯度大気海洋変動が南極棚氷融解に与える影響」 ■課題3「南極棚氷融解水が気候システムにあたえる影響」
今年度は課題1のモデル開発と課題3のプロトタイプ実験に対応する中程度解像度モデルを用いた20世紀実験を実施し、研究発表・論文発表を実施した。具体的には、中解像度モデルを長期大気再解析データERA20Cから計算した海面境界条件を用いて20世紀再現実験(1900-2010)を実施した。一連の数値実験から、南大洋上の風系場の変化が、南大洋の亜寒帯循環を強化した結果、極向きの熱輸送が増加し、棚氷底面融解を増加させることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海洋研究開発機構と東京大学大気海洋研究所で共同開発・運用されている海洋海氷結合モデル(COCO)に棚氷要素を導入し、この棚氷-海氷-海洋結合モデルを用いて、数値実験を実施した。 1.棚氷要素を全球海洋海氷モデルに導入し、棚氷融解水が全球海洋場へ与える影響を評価できる数値実験環境を整備した。 2.中解像度(0.5°)の南大洋モデルを整備し、長期大気再解析データERA20Cから計算した海面境界条件を用いて20世紀再現実験(1900-2010)を実施した。研究成果は、学会発表し、国際誌に投稿・受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
モデル開発・成果発表をバランスよく実施していくことにより、本計画で得られる研究成果を最大化できるように取り組む。
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Causes of Carryover |
研究計画では、70万程度の大容量ハードディスク(RAID)を購入予定していた。研究予算の充足率を考えて、RAIDの購入は2年目以降に実施することにした。
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Research Products
(2 results)