2021 Fiscal Year Research-status Report
Developing a climate model with an ice-shelf component
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19K12301
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
草原 和弥 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), 研究員 (20707020)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 南極棚氷底面融解 |
Outline of Annual Research Achievements |
全球海氷海洋モデル(三つの極を持つ直交曲線座標系)に棚氷要素を導入し、長期積分を実施した。動作確認及び初期解析に使用した数値モデルの水平解像度は1度である。この1度モデルはCMIP6に参加している気候モデルの海氷海洋部分であることから、今年度整備した棚氷要素を含む海氷海洋モデルは気候モデルへの段階的な導入が可能である。2022年度以降、気候モデルへの導入作業を実施する。また、1/4度全球海氷海洋モデルへも棚氷要素を導入し、棚氷融解水が全球海洋へ与える影響を評価可能な数値モデルを整備する。
気候モデルを使った研究の前段階として、気候モデルによる温暖化予測結果を外力として駆動した南極周極モデル実験を実施し、温暖化に対し南極棚氷底面融解がどのように応答するかを調査した。温室効果ガスの最大排出量の相当するシナリオ下では、棚氷底面融解が気温上昇に対して、非線形応答することが分かった。温暖化レベルが比較的低いシナリオでは、このような応答はない。上述の棚氷底面融解の気温に対する非線形応答は、温暖化に伴って、南大洋の夏季海氷が大きく減少すると、南極表層水(Antarctic Surface Water)が現在気候に比べて温暖になり、その一部が棚氷下へ流入し強い棚氷底面融解を引き起こされる。また、海氷生産量の減少と沿岸域での海氷融解の増加により、南極沿岸域が全体的に淡水化・成層が強化されることがわかった。その結果、いくつかの南極沿岸域では、周極深層水(Circumpolar Deep Water)の流入が強化されることも示した。これらの研究成果は論文として取りまとめ、国際雑誌に投稿し現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルスの蔓延による出勤制限と職場でのネットワークインシデントが重なり、在宅ワークの作業内容が大きく制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗に関して若干の遅延があるものの、研究実施体制に関して問題はない。今後も研究計画通りに、本研究計画で整備した棚氷要素を含む全球海洋を用いた研究の実施、気候モデルの海洋部分への棚氷要素の導入・整備を実施していく。
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Causes of Carryover |
前年に引き続き、新型コロナウィルス蔓延のため、国内外の学会・ミーティング参加が不可能となった。そのため、今年度の旅費の多くは、論文発表等の費用やモデル出力データの保存用のストレージ費用に、また、状況をみつつ、国内外の学会参加を再開し、研究費を活用していく考えである。
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Research Products
(3 results)