2019 Fiscal Year Research-status Report
海洋マイクロプラスチックの生物作用を介した鉛直輸送過程の解明
Project/Area Number |
19K12307
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 麗 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (60599629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 秀樹 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (30451892)
西部 裕一郎 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50403861)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロプラスチック / 顕微FT-IR / セジメントトラップ / ゲルトラップ / 鉛直輸送 / 海洋汚染 |
Outline of Annual Research Achievements |
紫外線・波などによって微細化されてマイクロプラスチックは海洋表層だけでなく海底堆積中からも検出されていることから、最終的に海底へと沈降すると考えられている。マイクロプラスチックの海底への沈降には①沈降粒子の共凝集(マリンスノーによる絡まり)、②付着生物(バイオフィルム)の形成、③小型魚類や動物プランクトンによる摂食による糞粒へのパッキング、といった生物的過程を経ると想定されている。本研究では、セジメントトラップとゲルトラップを使い、マイクロプラスチックが生物を介することによってどのように現場環境下で沈降するのかを明らかにすることを目的としている。 本年度は、各試料(海水・海底堆積物・生物)からマイクロプラスチックを抽出する方法をGESAMPのガイドラインを元に検討した。密度分離用の溶液は目的のポリマーの密度と薬品の価格を考慮して決定した。また、以前採取して保管していたセジメントトラップ試料の甲殻類を使い、酵素の種類別に分解時間を検討した。まだ検討の途中であるが4種の多酵素洗剤に浸漬することで分解時間の短縮が可能になると予想される。 マイクロプラスチックの海水中の沈降状態を観察するためにゲルトラップを行う予定であるが、まず、ゲルトラップに使うゲルの検討と調整を行った。さらに、大槌湾で試水(濾過海水と植物および動物プランクトンの混合海水)を使ってゲルの状態を観察した。18時間程度でプランクトン類がゲルの中へ入ることが分かった。 岩手県大槌湾で20Lの海水を一度に濾過するシステムを構築した。時期にもよるが100L 程度を短時間に濾過することが可能であることを確認した。今後、これを応用することによって、航行する船上でも大量の海水を連続的に濾過することが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
代表者の所属異動に伴い、顕微FTIRをはじめとする分析機器および実験器具の購入など、実験するための環境を一から整えることに時間を要してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
市販のマイクロプラスチックを用いてFTIRの検出感度の検討と試料を使った添加回収実験および再現性実験を行う。 岩手県大槌湾でゲルトラップとセジメントトラップを4季節に1-2日間設置する。トラップ設置時に100L程度の海水の濾過、ニューストンネットによるマイクロプラスチックの採取を行う。また、スミスマッキンタイヤー式採泥器を用いて海底堆積物を採取し、沈降したマイクロプラスチックのポリマーの検出、サイズに注目して分析を行う。 生物からのマイクロプラスチックの検出方法については引き続き酵素を用いた方法を検討し、各動物種において個体毎にプラスチックの摂食頻度等について明らかにする。
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Causes of Carryover |
岩手県大槌湾での調査が予定通りに行えなかったため、旅費と人件費を繰り越すことになった。また、今年度は調査機材(セジメントトラップおよびゲルトラップ)を既存のものを使用することができたので物品費も繰り越すことになった。 次年度は調査回数を増やし、トラップを改良する予定である。また、大量採水システムの改良も行う予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] A Horizon Scan of research priorities to inform policies aimed at reducing the harm of plastic pollution to biota2020
Author(s)
J.F.Provencher, M.Liboiron, S.B.Borrellec, A.L.Bond, C.Rochman, J.L.Lavers, S.Avery-Gommg, R.Yamashita, P.G.Ryan, A.L.Lusher, S.Hammer, H.Bradshaw, J.KhanaM. L.Mallory
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Journal Title
Science of the Total Environment
Volume: 733
Pages: 139381
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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