2021 Fiscal Year Research-status Report
海洋マイクロプラスチックの生物作用を介した鉛直輸送過程の解明
Project/Area Number |
19K12307
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 麗 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (60599629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 秀樹 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (30451892)
西部 裕一郎 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50403861)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロプラスチック / 顕微FTIR / セジメントトラップ / ゲルトラップ / 海洋汚染 / 鉛直輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、水柱からMPsを抽出する方法を検討・確立した。プラスチックビーズ(PE 63-75μm density 1.5, 38-45μm density 1.0, 10-27μm density 1.0, Cospheric社)とPET fiber (500μm density 1.2, Japan Chemical Fibers Associationから提供)を用いて添加回収実験および再現性の実験を行い、73%以上の回収率と76%以上の再現性が得られた。前年度は100L以上の海水を濾過し、MPsを抽出するシステムを構築したが、さらに分析しやすくするために使用するフィルターを小型のフィルターへ変更した。さらに、フィルターを溶解するためにこれまで使用していた5mol水酸化ナトリウムから10%水酸化カリウムへ変更した。2項目の改変で顕微FTIRの分析時にフィルター上の残滓が少なくなり、解析しやすくなった。 大槌湾で行っていた湾中央部の調査地点ではニューストンネットによるMPsが採取されにくく(曳網時間40分、東京湾や伊勢湾などでは5分の曳網時間で十分である)、セジメントトラップでもMPsを検証するために十分な数を得られなかったため、調査点を岸よりに変更した。 生物からのMPs検出方法について、以前東京湾で採取した3種の動物プランクトン(アカルチア100個体、パラカラヌス50個体、尾虫類 30個体)を用いて検討した。水酸化カリウムで分解させ、中和後、過酸化水素で有機物の除去を行い、密度分離は行わずに顕微FTIRで分析した。この方法ではキチン質は分解しなかったが、胃内容物は分解できた。MPsは検出できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
天候が悪く予定していた調査が行えなかったため、次年度に再調査を行うことにした。 また、顕微FTIRの不調が続き、予定していた分析が大幅に遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
大槌湾で行っていた湾中央部の調査地点ではニューストンネットによるMPsが採取されにくく、セジメントトラップでもMPsを検証するために十分な数を得られなかったため、調査点を岸よりに変更し、20m水深の場所に10mのトラップを設置した。これまで採取された数より2倍程度は多く採取されているので、引き続き次年度も同地点で調査を行う予定である。 生物からのMPsの検出方法については、2週間程度水酸化カリウムに浸漬して分解を行っている既存の文献があるため、この方法でも再度検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
悪天候とコロナで予定していた調査が行えなかった。 行えなかった調査は今年度調査する予定で申請中である。
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Research Products
(3 results)