2019 Fiscal Year Research-status Report
シングルセル解析を駆使した水圏における細菌増殖特性の精密解析
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19K12308
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日下部 武敏 京都大学, 工学研究科, 助教 (40462585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 芳久 京都大学, 工学研究科, 教授 (20226260)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 琵琶湖 / 細菌群集 / 増殖解析 / シングルセル解析 / 難分解性溶存有機物 |
Outline of Annual Research Achievements |
琵琶湖では、微生物に分解されにくい難分解性有機物が増加・蓄積しており、生態系や水利用への悪影響が懸念されている。本研究では、微生物食物網で重要な位置を占める細菌群集が、琵琶湖において微生物炭素ポンプ(MCP)を駆動することで難分解性有機物を産生しているのではないかと考えた。難分解性有機物の生成機構を深く理解するためには、細菌生産量(総量)だけでは不十分であり、活発に増殖している細菌鍵種の同定とその寄与、季節的・空間的変動等を明らかにしなければならない。また、増殖活性のみならず、環境条件(水温や栄養塩類濃度など)が異なると、たとえ同じ細菌種であっても細胞のサイズや形状、元素組成が異なることが知られており、これらの情報も併せて取得しなければ、物質循環の真の究明にはつながらない。そこで、本研究では、水圏における細菌群集の増殖特性をより精密に解明することを目的に、シングルセル解析を駆使した新たな方法論を確立し、琵琶湖の物質循環に果たす細菌群集の役割を解明することとした。 令和元年度は、EdU取込み(EdU濃度、時間)や膜透過処理、ブロッキング処理等について条件検討を行い、EdU増殖活性の高低に基づいたセルソーティング(単一細胞分離)を実施し、他の手法との組み合わせ可能なシングルセル解析手法を確立することを目的に基礎的な実験的検討を実施した。とりわけ、メンブンレンフィルター上で各種操作を実施した後に細菌細胞を回収する条件の検討を行った。その結果、本研究ではポリカーボネート(PC)膜(孔径0.2um)を正方形(約5mm角)に裁断し、ボルテックス処理(強度10、処理時間5分、繰り返し回数1回)することによって約40%の細菌細胞が回収できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度は、メンブレンフィルター上の細菌細胞を回収する条件を中心に検討を実施したが、回収率が約40%にとどまっており、当初の計画よりもやや遅れている。細菌細胞の回収はシングルセル解析を行う上で極めて重要なステップであり、令和2年度度前半に回収率の更なる向上を目指して検討を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、現場調査の継続的な実施が難しい状況が続いているが、琵琶湖水に替えて、河川水や微生物株を活用するなどして検討実験を実施していきたいと考えている。他の手法との組み合わせ可能なシングルセル解析手法を確立することを目的に、令和2年度は細菌細胞をメンブレンフィルターから回収する方法の確立を目指すとともに、セルソーティングした細菌細胞のTEM-EDS分析および16S rRNAメタゲノム解析を実施するなどして研究を推進する。
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Causes of Carryover |
7.現在までの進捗状況欄および8.今後の研究の推進方策欄に記載の通り、シングルセル解析を行う上で重要となるメンブレンフィルターからの細菌細胞回収率が約40%にとどまっていることに鑑み、更なる回収率の向上を目指して検討を実施する必要性が出てきたため、繰り越した研究費を用いて、令和2年度前半にこれらの検討実験を実施する計画である。
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Research Products
(1 results)