2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of mutation induction by low concentration tritiated water
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19K12318
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田内 広 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (70216597)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トリチウム / 突然変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、低線量率トリチウム水被ばくによる確率的影響の代表として体細胞突然変異を指標とし、線量・線量率と変異の量的・質的変化の関係を明らかにすることを目的としている。そのために、これまで代表者が樹立して活用してきた体細胞突然変異の高感度検出系を元にして、さらに低バックグラウンドかつ高感度の新規細胞実験系を樹立するとともに、低濃度トリチウムの生体影響を明らかにするための解析実験に取り組むことを計画した。具体的には、1)すでに樹立している高感度細胞系を改良し、より高感度な新規の突然変異検出系を樹立して、これまでよりもさらに低い線量率での実験を可能とするとともに、2)既存の高感度検出系を活用した低濃度トリチウム水影響の解析を並行して行い、1日10mGy以下の線量率で起きる確率的影響について、質的・量的変異があるかどうかを明らかにすることを目指している。今年度は、まず、既存の実験系を用いた低線量率(低濃度)トリチウム水の曝露による遺伝子突然変異の量的・質的な変化について、ヒトX染色体の解析マーカーをさらに増やした解析を昨年度に引き続いて実施した結果、データ取得と統計解析が完了し、その成果をとりまとめた論文を査読付き学術誌に投稿した(年度末に掲載受理通知が届いている)。また、ゲノム編集技術を用いた高感度検出系の改良については、新たなゲノム編集アプローチを導入して、少数ではあるが候補クローンが得られている。 これらに加えて、DNA二本鎖切断修復に関する研究成果の論文発表も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム編集については、新たなアプローチによる細胞へのマーカー遺伝子導入を継続して実施中である。年度末時点では細胞株の樹立には至ってないが、少数の候補クローンは得られているので、それらのクローンについて標的組換えを起こせたかどうかを確認する。また、従来の細胞系を用いた低濃度トリチウム水の影響に関する成果は論文投稿でき、すでに受理が決定したので、こちらについては当初目標を達成できることが確定した。
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Strategy for Future Research Activity |
低濃度トリチウム水の突然変異影響については、現状で研究可能な成果についての論文掲載が確定したので目標は達成した。 ゲノム編集については、すでにアプローチの変更を行った上で継続実施中なので、得られている候補クローンのゲノムDNAを詳細に確認するとともに、採取するクローン数をさらに積み重ねて目的とする細胞系樹立を目指す。
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