2019 Fiscal Year Research-status Report
NER中間体がもたらす新たなDNA損傷生成とその防御応答の解析
Project/Area Number |
19K12319
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
若杉 光生 金沢大学, 薬学系, 准教授 (80345595)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 司 金沢大学, 薬学系, 教授 (60192340)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ヌクレオチド除去修復 / 二次的DNA損傷 / DNA損傷応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
休止期の状態ではNERの後期過程が不完全な場合があり、不完全なNERの中間体がプロセッシングを受け、2種類の二次的なDNA損傷が生成することを明らかにしてきた。本研究ではNER反応中間体のプロセッシングの生物学的意義の解明を目的として実験を行い、以下のような成果を得た。 1.休止期では、二次的DNA損傷の一つであるDSBに対してNHEJ(non-homologous endo joining; NHEJ)がG1期と同様に機能すると考えて検討を行った。まずDNA-PKcsの活性化について調べたところ、紫外線を照射した細胞で活性化を示すリン酸化体が検出され、それが紫外線損傷部位に集積することがわかった。またNHEJ欠損の影響を調べるために作製したKu70ノックダウン細胞では、紫外線照射後の死細胞の割合が顕著に増加していることがわかり、二次的DNA損傷の修復にNHEJが関与し、細胞死を抑制していることを明らかにした。この実験結果により、休止期では紫外線照射により実際にDSBが生じることを裏付ける実験結果を得ることができた。 2.二次的DNA損傷の中で生物学的な効果の高いDSBの生成機構を明らかにするために、候補となるヌクレアーゼについて詳細に検討を行った。その結果、あるヌクレアーゼの発現を2種類の異なるshRNAを用いて抑制したところ、DSBに対する応答反応が低下し、活性化型のDNA-PKcsのDNA損傷部位への集積もほとんど見られなくなった。また興味深いことに、ノックダウン細胞は、紫外線に対してはより抵抗性を示すことがわかった。さらにコメットアッセイを用いてDSBの生成について検討したところ、ノックダウン細胞ではその生成が抑制されており、NER中間体を介するDSBの生成に、本研究で検討したヌクレアーゼが関与することを示唆する結果を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NERを介したDSBの生成に他のヌクレアーゼの関与する可能性もあるが、検討したヌクレアーゼが寄与していることを示すデータが得られている。現在ノックアウト細胞株も作製しており、おおむね予定通りに計画を進めることができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の解析により、NERによってDNA損傷が除去された後に生じたssDNAギャップ中間体を介してDSBが生成していることを裏付ける実験的な証拠を得ることができた。DSBに対する修復機構としてNHEJが働いていることがわかったが、さらに他のNHEJ因子のノックダウン細胞もしくはノックアウト細胞を作製し、その影響について詳細な解析を進めていく。特に、より信頼性の高いコロニー形成法や突然変異の誘発への影響についても解析を行う。そして、実際にあるヌクレアーゼがDSBの生成に関与することを示唆するデータが得られたが、ノックアウト細胞の作製とより詳細な解析を行い、その関与を実証していく。また、今回の解析により他のヌクレアーゼが関与する可能性も示唆されており、ゲノムワイドなsiRNAライブラリーや質量分析を利用した網羅的な解析を利用する等のアプローチも必要と考えられるので、共同研究等を利用してより積極的にその機構解明に全力を注ぐ。 また、これまでに複数のヌクレアーゼがNER中間体に作用して多様なDNA損傷を誘導する原因となっていることがわかってきたが、それらのヌクレアーゼの活性の制御も重要であると考えられる。それらの制御機構を明らかにするために、ヌクレアーゼと相互作用するタンパク質を同定し、その有無がヌクレアーゼの活性に与える影響についても解析を進めていく。ssDNAギャップを拡張するExo1に関しては、作製したmCherry融合型Exo1の発現細胞を用いて単離条件の最適化を検討してきたが、実際にその同定を行う。また、本年度の解析により明らかになったヌクレアーゼについても、順次解析を行う。そして、それらの制御機構を破綻した時の欠影響について、細胞レベルそして個体へと解析を展開していくことにより、NER反応中間体のプロセッシングの生物学的意義の解明を目指す。
|
Research Products
(10 results)
-
-
[Journal Article] PDIP38/PolDIP2 controls the DNA damage tolerance pathways by increasing the relative usage of translesion DNA synthesis over template switching2019
Author(s)
Tsuda, M., Ogawa, S., Ooka, M., Kobayashi, K., Hirota, K., Wakasugi, M., Matsunaga, T., Sakuma, T., Yamamoto, T., Chikuma, S., Sasanuma, H., Debatisse, M., Doherty, A. J., Fuchs, R. P., and Takeda, S
-
Journal Title
PloS one
Volume: 14
Pages: e0213383
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-