2020 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム再編成を行う幼若ニューロンにおける放射線感受性
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19K12324
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
白石 一乗 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40347513)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / DNA損傷 / 放射線感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
電離放射線に被曝したマウスの神経幹・前駆細胞(NSPC)における最も深刻なDNA損傷であるDNA二本鎖切断(DSB)の数を明らかにするために、我々はこれまでに分離した脳組織を培養してin vitroでニューロスフェアを形成してきた。しかし、ニューロスフェアに出現したDSBが、生体内の脳組織のDSBを反映しているかどうかは不明であった。そこで本研究では、マウス胎生14.5日齢脳組織の凍結切片を用いて、X線照射によって生じたDSBとアポトーシス細胞の数を直接測定した。妊娠ICRマウスの14日目の胎児に2GyのX線を照射し、線条体組織切片中のDSBとアポトーシス細胞の数を免疫組織化学的に染色して測定した。beta III-tubulinが発現している部位を神経細胞が豊富な部位とし、beta III-tubulinが発現していない側脳室に隣接する部位を神経細胞が豊富な部位とした。DSBとアポトーシスは、それぞれリン酸化された53BP1の病巣と、切断されたカスパーゼ3の発現によって検出した。照射後1時間から24時間のNSPCsのDSB修復動態は神経細胞と同様で、時間の経過とともに病巣の数が減少した。この結果はニューロスフェアを用いた培養系の実験と一致した。NSPCsのアポトーシスは、神経細胞よりも早く現れ、照射後3時間から6時間でプラトーに達した。NSPCにおけるアポトーシスの出現が神経細胞よりも早かったのは、照射後3時間から24時間の間にNSPC領域の幅が時間依存的に減少したことと関係があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の目的は神経幹細胞と分化神経細胞との放射線応答性の違いを明らかにすることにある。現在までに、in vitroでの感受性の違いを明らかにし発表している。本年度は組織凍結切片を用いて、in vivoでの感受性を明らかにした。これらの知見を総合し、最終年度は学術論文として発表できるように結果の補強、蓄積を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
実験条件間でサンプル数のばらつきがある。また、サンプル数が少ないため、統計処理に耐えられないデータがある。これらを改善するため、サンプル数の加算に努める。
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