2020 Fiscal Year Research-status Report
新規視覚化技術による非相同末端再結合タンパク質モニタリング系の開発とその応用
Project/Area Number |
19K12325
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
柳原 晃弘 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (70423051)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | DNA修復 / DNA二重鎖切断 / ライブセルイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、非相同末端再結合と呼ばれるDNAの修復機構に関わるタンパク質の挙動を、生きたまま観察できる技術を開発し、それによりいまだ不明な点が多い非相同末端再結合の理解をより深めることである。このDNA修復機構は加齢疾患やがんと深く関わっていると考えられており、また、近年目覚ましい発展を遂げているゲノム編集技術等の医学・生命科学技術とも関わりが深い。本研究が目指す技術開発は、長い間実現困難とされてきた挑戦的な課題であり、本研究の成果は、再生医療、がん治療など、医療分野への幅広い波及効果が期待される。本年度は、昨年度までの試験で蓄積したタンパク質蛍光標識法に関する実験データをもとに、様々な変更を加えながら蛍光標識タンパク質の作製・試験を行なった。試験結果のデータ解析をもとにさらなる改善策を施しては試験を行うということを繰り返した末に、ついに非相同末端再結合タンパク質の挙動を生きたまま観察できる方法に辿り着くことができた。この方法を利用することで、非相同末端再結合の中核を担ういくつかのタンパク質の挙動観察に成功した。この方法の確立は本研究の根幹を担うと言っても良い達成目標であり、本研究課題の目的達成に向けた大きな前進であった。非相同末端再結合タンパク質の挙動とともに、他の細胞内情報も同時に取得できるよう、別途蛍光標識タンパク質を作製・試験し、複数の細胞内情報を異なる色の蛍光シグナルにより取得できるシステムを構築した。これらのシステムを利用した細胞内DNA修復観察解析を行い、非相同末端再結合について理解を深めることが最終目的であり、次年度の研究に向けた準備が整ったと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の中核となる非相同末端再結合タンパク質の観察技術の確立が、予定通りに達成されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
確立した非相同末端再結合タンパク質挙動解析法を利用し、放射線照射によるDNA二重鎖切断導入後の非相同末端再結合タンパク質挙動を経時的に顕微鏡観察し、挙動の詳細な解析を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、実験室への入室が制限され、使用予定であった消耗品の購入計画に変更が生じたため、次年度使用額が生じた。コロナ禍において実施可能な作業計画に変更し、それに必要な消耗品の購入費用に充てる。
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