2021 Fiscal Year Research-status Report
新規視覚化技術による非相同末端再結合タンパク質モニタリング系の開発とその応用
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19K12325
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
柳原 晃弘 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (70423051)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DNA修復 / DNA二重鎖切断 / 放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAは生命の設計図であり、そのため、DNA修復機構は生命維持に欠かすことのできないシステムである。DNAの傷の中で最も重篤とされているのは、「DNA二重鎖切断」と呼ばれるDNAの切断損傷である。DNAは二本の鎖で構成されているが、その二本ともが切れてしまう損傷である。この切断を再結合できなければ、細胞は生き延びることができない。また、誤った再結合も細胞死や細胞のがん化を招いてしまう。このような切断損傷は、電離放射線が生成することが知られており、放射線発がんの原因も、元を辿ればDNA二重鎖切断が原因であると考えられている。ホ乳類細胞では、DNA二重鎖切断は主に「非相同末端再結合」と呼ばれる修復機構によって修復(再結合)される。したがって、非相同末端再結合は発がんとも密接に関係している。これまで、非相同末端再結合の研究が盛んに行われてきているが、未だ不明な点も多く残されている。例えば、非相同末端再結合に関わるタンパク質が、細胞内でどのような振る舞いをしているのか、どのような相互作用をしているのかについてはほとんど明らかにされていない。本研究では、非相同末端再結合タンパク質の挙動を細胞内で生きたまま観察するための方法を開発し、細胞内挙動の謎を明らかにすることを目的としている。本年度は、非相同末端再結合に関わる様々なタンパク質の挙動を観察し、これらが放射線によってできた切断損傷に集まってくる様子を捉えることができた。また、それぞれのタンパク質はそれぞれに特有の性質を持っていることもわかってきた。これらの結果は、DNA切断損傷がどのようにして再結合されるのか、またどのようにがん化へと繋がっていくのかについての基礎理解を進める重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による活動制限と、宮城県沖地震による実験室の被害により、当初の計画通りに研究を進めることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の中で、不可抗力により前年度に実施できなかった実験を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による活動制限および宮城県沖地震による実験室の被害のため、計画していた実験が行えなかったため、次年度使用額が生じた。これは次年度に実験を行うために使用する。
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