2021 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanistic studies of double-strand break repair at repeated sequences in the genome
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19K12328
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
香川 亘 明星大学, 理工学部, 教授 (70415123)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 二重鎖切断修復 / DNA修復経路 / single-strand annealing / 反復配列 / ミスマッチ塩基対 / DNAアニーリング反応 / RAD52 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA二重鎖切断(DSB)は染色体の分断を意味する重篤な損傷である。細胞には複数のDSB修復機構が備わっているため,ほとんどのDSBは適切に修復されている。しかし,どのDSB修復機構においても変異が生じる可能性があり,ゲノムが安定に維持されるためには適切な修復経路の選択が重要である。我々は,反復配列内で生じたDSBを修復するSSA修復機構に着目した。ヒトゲノムの約半分を占める反復配列は,同一種の反復配列のコピー間でも100%相同ではないものが多く存在する。そのため,反復配列間でアニーリング反応が行われるSSAではミスマッチ塩基対が生じ,変異の原因となる可能性が考えられる。本研究では,アニーリングの際に頻繁に生じると考えられるミスマッチ塩基対の形成がSSA修復の効率にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的とした。SSAでは,RAD52タンパク質が反復配列間のアニーリング反応を促進する。まず,ヒト培養細胞内でSSAを検出するために用いるGFPレポータープラスミドの塩基配列を改変し,修復の際にミスマッチ塩基対が生じるようにデザインした。このプラスミドを用い,SSAの効率を調べたところ,ミスマッチ塩基対が生じないプラスミドと比べてSSAが顕著に低下していることがわかった。一方,RAD52を過剰発現させた場合,ミスマッチ塩基対が生じないレポータープラスミドではSSA効率の上昇がほとんど見られなかったのに対し,ミスマッチ塩基対が生じるプラスミドではSSA効率の顕著な上昇が見られた。このことから,RAD52が過剰に存在すると正確性の低いSSAが促進されることが考えられた。近年,RAD52はがん細胞において過剰発現し,がんの発症と進行に関わっていることが指摘されていることから,RAD52による正確性の低いSSAは,ゲノム不安定性に関与する可能性が考えられた。
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Research Products
(8 results)