2021 Fiscal Year Research-status Report
植物における放射線誘発突然変異のランダム性に関する分子生物学的検証
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19K12333
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
北村 智 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 上席研究員 (80370386)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 突然変異 / 放射線 / フラボノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物が合成するフラボノイド色素をマーカーとして、放射線による突然変異のランダム性について検証するとともに、放射線照射当代での突然変異の様相を明らかにすることを目的としている。これまでに、フラボノイド色素合成に着目し、放射線照射当代(M1)が形成する種子で変異形質を検出・比較する系、あるいは、M1植物の葉などの栄養組織で変異形質を検出・比較する系、を構築した。そこでまず、M1植物の葉などの栄養組織で変異形質を検出する系の実証実験を実施した。フラボノイド色素の一種であるアントシアニン合成に関する3遺伝子のヘテロ種子を作製し、ガンマ線を照射した。照射種子を発芽させ、M1植物が形成したロゼット葉で、アントシアニン欠損セクターが形成されることを確認した。このセクターは、照射した種子の段階で、ヘテロ座における3遺伝子のいずれかで突然変異が生じた1細胞が分裂することで形成されたと考えられたため、そのセクター組織を回収し、ゲノムDNAを抽出して、全ゲノム解析を実施した。その結果、M1組織でありながらもキメラレベルの低い状態を作り出すことに成功し、今までのM2以降のゲノム解析では検出が難しかった大規模変異を含む、大小さまざまな突然変異を網羅的に検出することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染拡大の影響による在宅勤務の増加に伴い、加速器運転時間が圧迫され、予定していた種子の色調変化を捉える照射実験を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、限られた照射マシンタイムを有効に活用し、種子の色調変化を捉える照射実験を完了する。
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Causes of Carryover |
照射マシンタイムの削減により予定していた解析実験が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。該当実験を次年度に実施する予定で、その費用に充当する。
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