2019 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム変異から探る ~ カロリー制限の放射線発がん予防機構の解明
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19K12335
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
尚 奕 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線影響研究部, 主任研究員(任常) (50533189)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カロリー制限 |
Outline of Annual Research Achievements |
子ども期の放射線被ばく影響では、生涯の発がんリスクの上昇が最も心配される。我々は実験マウスを用いて、子ども期の放射線被ばくによる肝癌リスクを、成体期からのカロリー制限により低減できることを証明した。本研究は1. 肝癌発生に機能遺伝子変異は発がん過程のいつ、どういう順番で生じたか?2. 自然発生した肝癌と放射線被ばく誘発した肝癌の変異に違いはあるか?3. カロリー制限が変異の発生、蓄積をどう変化させたか?を解明するを目的とした。 本研究は組織病理学及び次世代シークエンス解析技術を駆使し、①肝癌発生における放射線特異的な変異(Radiation signature)の存否を確認する。②異なるカロリー条件で発症した肝癌の遺伝子変異頻度、パターンの違いを明らかにする。具体的に、B6C3F1雄マウスを用いて、非照射または生後8日齢にX線3.8Gyを全身照射後、49日齢からカロリー制限を開始し、標準食95kcal/週/匹(非制限)または制限食65kcal/週/匹(約30%のカロリー制限)を摂取させた。終生飼育群は各60匹、タイムコース群は100日齢ごとに各群マウス3匹ずつ解剖し、肝癌の発症時期を検証するための肝癌と非癌組織のホルマリン固定と遺伝子変異解析のための凍結保存を完了した。これらのサンプルを病理スクリーニングによって病変の悪性度を確認後、選定した癌と、レファレンスゲノム配列を取るための同個体肝臓非癌部位から、レーザーマイクロダイセクション法で組織を切り出して、ゲノムDNAを精製し、次世代シークエンス法で全エクソーム配列を解読して、遺伝子変異頻度、パターン等を調べる。平成31年度は上記実験で得られたサンプルの病理標本の作製、組織病理学スクリーニングを行い、病変悪性度を確認した。サンプル順次レーザーマイクロダイセクション法でゲノムDNAを精製し、次世代シークエンス解析の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度計画に沿って研究を進めて、当初の計画通りに実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も計画通りの解析を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
購入した消耗品がキャンペーン価格になって、予定より安価で購入できた。
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