2020 Fiscal Year Research-status Report
リボヌクレオチドが引き起こす重篤なゲノム不安定化の分子機構
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19K12339
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐々 彰 千葉大学, 大学院理学研究院, 特任助教 (10738347)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | DNA損傷 / ゲノム不安定性 / DNA修復 / 突然変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノムDNAの複製において、DNAポリメラーゼがしばしばRNA前駆体(リボヌクレオチド)を基質として取り込むことがあり、その除去修復を担う酵素RNase H2の機能不全は様々な細胞異常を引き起こす。本研究では、DNAに取り込まれたリボヌクレオチドを起因とする突然変異誘発のメカニズムに着目して、ヒト細胞で増幅可能なシャトルベクターシステムを用いた解析を行った。 これまでに申請者は、部位特異的に1分子のリボグアノシン(rG)を含むシャトルベクターをヒトBリンパ芽球細胞株TK6に導入し、ベクター上で引き起こされる突然変異スペクトラムを明らかにしている。本年度はさらに、その様な突然変異の誘発に関わる修復酵素としてチロシルDNAホスホジエステラーゼ(TDP1、TDP2)を同定した。TDP1およびTDP2を欠損させた細胞株ではrGによって生じる突然変異の頻度が減少し、さらに細胞内でのシャトルベクターの複製効率が有意に上昇したことから、TDP1、TDP2を介したリボヌクレオチドの除去修復経路がゲノム不安定化に寄与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAに取り込まれたリボヌクレオチドによる突然変異誘発メカニズムを同定し、研究成果として本年度内に査読付き国際誌に出版した。 以上より、概ね計画通りに進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
リボヌクレオチド除去修復に関与する因子を欠損したヒトTK6変異株をもとに、遺伝毒性試験法を利用したゲノム異常の同定とその分子機構の解析を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、出席予定だった国内・国際会議が中止またはオンライン開催に移行したため、次年度使用額が生じた。消耗品ならびにシーケンス解析費用として翌年度に使用する。
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Research Products
(14 results)