2019 Fiscal Year Research-status Report
ホルミル基を有する変異誘発性DNA損傷の高感度検出と生体試料への応用
Project/Area Number |
19K12344
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
高村 岳樹 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (50342910)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ホルミル基検出プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞中のDNAには様々な損傷が生じている。これらの損傷はUVや環境因子に由来する外的要因に起因する場合の他、内在性の因子も多数に存在している。これらの損傷は、通常、速やかに修復されるが、修復を逃れた場合突然変異を誘引し、細胞のがん化の要因となる。DNAに生じた損傷の一部にはアルデヒド基(ホルミル基)を有するものがあり、アプリニック/アピリミジン残基や、エピゲノムに関与するホルミルデオキシシチジンなどが相当する。これらの損傷を網羅的に分析する,なおかつ予想される新たなホルミル基を有する DNA 損傷部位を効率よく同定,定量するために,これらのホルミル基と効率的に反応する蛍光プローブが必要となるため,この合成方法について検討した。蛍光団としてBODIPYを採用し、BODIPYにヒドロキシルアミノを結合させる合成するルートを検討した。4-(Chloromethyl)benzoyl chlorideに対して2,4-dimethylpyrroleを作用させ、8-(chloromethyl)-phenyl-BODIPY骨格を合成した。いくつかの反応条件を検討し、おおよそ収率25%程度で合成することが可能であった。得られた化合物のハロゲン部位をアミノ基に変換させるためにシュタウディンガー反応を用いた。当量のアジ化ナトリウムを室温で処理させることでハロゲン基をアジドとした。系中からナトリウムアジドを溶媒抽出で取り除いた後,引き続きトリフェニルフォスフィン・水で処理することでアミノ体とした。化合物 3 からの収率は17%であった。この反応からさらにBOC保護をしたO-(carboxymethyl)hydroxylamineを反応させ、目的とする化合物のBOC保護体を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、得られた目的化合物のBOC保護体からBOC基を外すことを検討している。しかしながら、効率よくBOC基の脱保護を行うことができず、いくつかの条件では、BODIPY骨格が壊れてしまうことが明らかとなった。そのため、本反応経路とは異なる経路を構築する必要があり、合成予定であったアルデヒド検出プローブの合成がまだ完結していない。他の経路の構築および、脱保護の検討も十分に行いたい
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにアルデヒド検出プローブの合成は多く行われてきたが、アルデヒドやDNA損傷部位に相当するアプリニックサイトなどを検出できるプローブは一つしかない。このため、より簡便にこれらのホルミル基を有するDNA損傷の効率的な検出について検討を行う。本年度はBODIPY骨格を有する系での合成系を構築しようとしたが、最後の一つ手前で合成がストップしている。しかしながら、少量ながら合成品が得られているので、1)物理化学的測定に必要な量の合成品を得ること、2)他のヒドロキシアミノ基の保護基を検討すること。特に近年、アミノ基の保護機としてのシリル基が開発されているので、その系を試みる、3)またBOCの脱保護に関してまだ十分に検討を行っていないので、条件最適化を含めた検討を行っていく
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Research Products
(6 results)