2019 Fiscal Year Research-status Report
Toxico-Transcriptome study of environmental chemicals
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19K12346
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
角 大悟 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (30400683)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 亜ヒ酸 / スプライシング / SRSF |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、化学物質によるスプライシング異常と毒性発現機構を明らかにすることを目的としている。ほすでに当研究室のsiRNAを導入した細胞の結果から、スプライシング制御因子のserine-arginine rich spricing factor 5(SRSF5)が亜ヒ酸の毒性に関与していることを見出している。そこで、本年度は、1)亜ヒ酸の毒性発現に他のSRSFsが関与しているのか、2)SRSF5が制御しているmRNA群を明らかにすることを目的とした。 1)標的部位の異なる2種類のSRSF(SRSF1,2,3,6,7,9) siRNAを導入したヒト表皮角化HaCaT細胞に、亜ヒ酸を曝露し24時間後の細胞毒性を検討した。その結果、SRSF1,2,3,6,7 siRNAを導入したHaCaT細胞では亜ヒ酸の毒性に変化は見られなかった。SRSF9 siRNAを導入した細胞では使用したsiRNAにより異なる結果を得た。一方で、SRSF5 siRNAを導入したHaCaT細胞は亜ヒ酸に対する感受性が亢進していた。これらの結果から、SRSF5にスプライシングを依存している遺伝子群の中に、亜ヒ酸の感受性を制御する因子が存在することが示唆された。 2)SRSF5にスプライシングを制御されている因子を探索するために、controlおよびSRSF5 siRNAを導入したHaCaT細胞からRNAを抽出し、次世代シークエンサーにてmRNA量の変化を検討した。BaseMeanで10以上、controlと比較して2倍以上減少した遺伝子群の中から選択した5遺伝子のmRNAについてRealtime-PCRで検討したところ、確かにSRSF5 siRNAによりこれらのmRNA量の減少が検出できた。現在、これらの遺伝子群のsiRNAを導入した細胞を準備し、亜ヒ酸への感受性について検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、スプライシング因子であるSRSFsのなかでもSRSF5のsiRNAを導入したHaCaT細胞においてのみ亜ヒ酸の感受性が亢進していることが明らかにした。さらに、HaCaT細胞においてSRSF5に制御されている遺伝子群について次世代シークエンサーで探索することができている。現在、亜ヒ酸の感受性に関わる遺伝子群の同定を進めるために、候補となる遺伝子群に対するsiRNAの検討、ならびに導入後の亜ヒ酸に対する感受性の変化について検討をすすめている。これらのことから、課題「スプライシング因子の減少によるスプライシングバリアントの網羅的解析(次世代シークエンサーを使用)」、「siRNAによる対象mRNAの減少に伴う化学物質の毒性評価」については順調に進んでいる。一方で、課題「化学物質によるスプライシングバリアントの網羅的解析(次世代シークエンサーを使用)」に関しては、現在、化学物質に対する感受性を検討しているところであり、細胞毒性を与えない程度の濃度を探索中である。令和2年度には、こちらの課題を積極的にすすめていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、課題「スプライシング因子の減少によるスプライシングバリアントの網羅的解析(次世代シークエンサーを使用)」、「siRNAによる対象mRNAの減少に伴う化学物質の毒性評価」について、特に亜ヒ酸の感受性に影響を与える遺伝子群の同定をすすめていきたいと考えている。すでに、令和元年度により候補となる遺伝子が検討されているので、これらのsiRNAを導入したHaCaT細胞を準備し、亜ヒ酸の毒性に関わる遺伝子を同定したい。また、これらの現象が、HaCaT細胞特異的に起こるかについて他の細胞と比較・検討をする予定である。また、亜ヒ酸の毒性は細胞内での活性酸素産生あるいはタンパク質システイン残基への共有結合の関与が報告されている。そこで、同定された遺伝子産物が活性酸素あるいは亜ヒ酸以外の親電子性物質による毒性にも関与するかについて検討を進める。 課題「化学物質によるスプライシングバリアントの網羅的解析(次世代シークエンサーを使用)」に関しては、化学物質に曝された細胞からRNAを抽出し、次世代シークエンサーにて、control細胞と比較し特異的な変動が見られる遺伝子群を抽出する。これらの遺伝子産物が化学物質の毒性に関与するかについて各siRNAを使用して検討を進める。また、化学物質によってスプライシング異常が検出されたmRNAに関しては、リコンビナントタンパク質を作成し活性が変化するかについて検討する。
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Research Products
(2 results)