2021 Fiscal Year Annual Research Report
Toxico-Transcriptome study of environmental chemicals
Project/Area Number |
19K12346
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
角 大悟 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (30400683)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 毒性発現 / 亜ヒ酸 / スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
化学物質による毒性発現には多彩な分子および機構が関与しており、化学物質の解毒・代謝に関わる遺伝子のmRNAのスプライシングが障害を受けると、化学物質に対する感受性が増大することを見出した。これらの結果から、化学物質の解毒に関わる酵素群のmRNAのプロセシングが正確に行われているかを検討することは化学物質の毒性発現を唱える上で重要であること考えた。本課題では、mRNAのスプライシングに着目し、『化学物質のスプライシング異常を介した毒性発現機序を解明する』ことを目的とした。 スプライシングを制御する因子であるSerine-Arginine rich Splicing factor (SRSF)の発現量を人為的に抑制した培養細胞での各種化学物質の毒性を検討した。その結果、SRSF5を抑制した細胞は亜ヒ酸の感受性が増加していることが明らかとなった。他の化学物質でも検討を進めたところ、SRSF5の抑制はカドミウムや過酸化水素の毒性に変化を与えなかった。次に、SRSF5 発現量を抑制した細胞においてmRNA量が変動している遺伝子群を検討し、その中から亜ヒ酸の感受性に関わる因子の同定を試みた。SRSF5 の発現量抑制により2倍以上mRNA量が低下している155遺伝子のうち、転写産物の機能が明らかになっている遺伝子のsiRNAを別々に導入した細胞における亜ヒ酸の感受性を検討したところ、Forkhead Box A1 siRNAの導入によってのみ亜ヒ酸に対する感受性が顕著に上昇した。以上の結果から、亜ヒ酸の毒性に関わる新しい因子としてSRSF5-FOXA1経路を見出した。 本研究の遂行により、亜ヒ酸の毒性に関わる新しい因子を同定することができた。このようなスプライシング因子を脆弱化させた状態での化学物質の毒性を見出す手法は類を見ない方法であり、今後新しい毒性発現因子が見出される可能性が高い。
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Research Products
(3 results)