2019 Fiscal Year Research-status Report
Groundwater and spring water evaluation by high density groundwater level monitoring applying microtremor array exploration
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19K12365
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Research Institution | Hot Springs Research Institute of Kanagawa Prefecture |
Principal Investigator |
宮下 雄次 神奈川県温泉地学研究所, 研究課, 主任研究員 (40416079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
先名 重樹 国立研究開発法人防災科学技術研究所, マルチハザードリスク評価研究部門, 主幹研究員 (90500447)
濱元 栄起 埼玉県環境科学国際センター, 土壌・地下水・地盤担当, 専門研究員 (40511978)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 極小微動アレイ探査 / 高密度地下水位モニタリング / 時差極小微動アレイ探査 / 季節変化 / UAV地表面温度分布測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来不可能であった井戸を用いずに地下水位の測定を行うことを目的としている。 本研究における新たな地下水面探査手法は、地盤のS波速度を測定する物理探査手法である「極小微動アレイ探査」を応用した方法である。地盤中を伝わるS波速度は、地盤中の土質や岩質によって変化するだけなく、地盤を構成する水分量によっても変化することが知られている。地表付近においては、気象や灌漑などの土地利用によって、不飽和帯の深度が変化し、それに伴って飽和帯の上面である地下水面も変動する。そこで、地下水面深度が異なる2時期において微動探査を行うことで、地下水面深度を検出することを試みた。さらに、地温の影響を検証するため、UAVを用いて探査地点近傍の地表面温度分布データを取得した。 研究初年度となる令和元年度は、地下水位が相対的に高い灌漑期(2019年8月)と、地下水位が低い非灌漑期(2020年1~2月)に、神奈川県西部地域と、埼玉県中央地域で、微動アレイ探査を実施した。また、2014年に神奈川県西部地域で繰り返し測定した定点微動探査結果を、近傍の地下水位観測データと合わせて再解析を行った。 神奈川県西部地域と埼玉県中央地域における探査範囲は、ともに周辺に水田が広がる水田地域である一方、神奈川県西部地域は扇状地上部で砂礫主体、埼玉県中央地域は沖積低地で砂シルト主体と地形・地質が異なっている。微動探査によって得られたS波速度は、これら地質の違いを反映し、神奈川県西部地域におけるS波速度は、表層を除く深度50m程度までの区間で砂や礫に相当する500~1000m/sec程度であったのに対し、埼玉県中央地域では、シルトや粘土、ロームなどに相当する400m/sec以下という結果が得られた。 また、近傍の観測井におる地下水位と比較した結果、地下水面近傍でS波速度が大きく変化していることが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた、地質の異なる2地域での2時期における同一地点での微動探査を、神奈川県西部地域と埼玉県中央地域において、実施することができた。また、2時期の微動探査データを比較解析する方法について検討を行った。また、UAVを用いた上空からの熱赤外測定による微動探査地点周辺の地表面温度データの取得や、観測井における検証用地下水位データも取得することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、初年度に実施した微動探査データの詳細な解析を行い、地下水面検出精度を向上させる。また、地下水面標高を算出するために必要な正確な地盤標高を、迅速かつ簡易に取得するために、GNSS-RTK測位を微動探査と同時に行い、微動探査時間内にGNSS測位が実施可能稼働について、検討を行う。 また、寒冷地(福島県及び長野県)において、現地調査を行うことで、気候条件の異なる地域における検証を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画していた、温度ロガーを用いた地温測定方法から、UAVを用いた方法に変更したことで、物品費を予定より低く抑えることができた。また、現地調査に必要な人員を減らすことで、旅費を軽減することができた。 次年度は地温測定に必要な熱赤外線カメラの購入や、現地調査の日程を延長して、より多くの微動探査を実施するなどして、研究の充実化を図る予定である。
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