2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K12366
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大地 まどか 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40447511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張野 宏也 神戸女学院大学, 人間科学部, 教授 (20291213)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 船底防汚物質 / 海洋保全 / 海洋生物 / 生物影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、人工化学物質による海洋汚染が世界的に問題となっている。なかでも、主に海洋環境で船舶や漁網等の防汚物質として用いられてきた有機スズ化合物は、その強い水生生物への毒性影響から、国際的にしようが規制された。しかしながら、有機スズ化合物は、現在も沿岸海域に残留し、沿岸生態系への影響が懸念されている。最近では、有機スズ化合物の代替品である新規防汚物質による沿岸域の汚染が報告されているが、その生物影響や沿岸域での挙動については不明な点が多い。本研究では、これまでに確立した生物影響評価手法を新規防汚物質に応用するとともに、野外調査により、有機スズ化合物および新規防汚物質の汚染状況を把握し、両化合物による生態系攪乱機構を網羅的に解明することを目的とする。本年度は、生物影響評価を行う際に用いる指標生物の検討と生物影響評価を行った。さらに、沿岸海域で海水・底泥・生物を採取し、それらの試料における有機スズ化合物および新規防汚物質の濃度を測定した。その結果、使用が禁止された有機スズ化合物のみならず、その代替品である新規防汚物質も海洋環境中に残留していることが明らかになった。したがって、現在、海洋環境は有機スズ化合物および新規防汚物質の両化合物により複合的に汚染されていることが明らかになった。本研究で得られた成果については、現在国際誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、これまでに確率したs生物影響評価手法を有機スズ化合物の代替品である新規防汚物質に応用するとともに、野外調査により有機スズ化合物およびその代替品である新規防汚物質の汚染状況を把握し、両化合物による沿岸生態系攪乱機構を網羅的に解明することを目的としている。本年度までに、生物影響評価における様々な海洋生物を対象とした生物影響評価の実施、および野外調査における汚染実態調査について、順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立した生物影響評価手法を用いて、有機スズ化合物および新規防汚物質の生物影響評価を行うとともに、引き続き、日本沿岸域における試料の定期サンプリングを行い、各試料中の両化合物濃度を測定する。最終的に、生物影響評価と野外調査の結果を比較・検討することにより、船底防汚物質の生態系への影響を評価する。
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Causes of Carryover |
当初計画の海洋調査の実施は、コロナ禍により延期・中断することが必要になった。化学分析、海洋調査および生態解析は連動するため、それぞれ延期・中断が発生し、次年度使用額が生じた。本年度は、海洋調査の実施を計画通り行うことにより、化学分析、生態解析をともに実施し、研究を遂行する予定である。
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