2019 Fiscal Year Research-status Report
High accuracy analysis of microplastic sources in the terrestrial and coastal environments
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19K12372
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中田 晴彦 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (60311875)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 道路粉塵 / マイクロプラスチック / 添加剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロプラスチック(MP)による環境汚染に社会的関心が高まっている。陸域におけるMP排出源の一つに「道路粉塵」が挙げられるが、その調査例は国内外ともに少ない。また、MPの環境負荷を減らすには発生源を具体的に特定する必要があるが、微細化したプラスチック片から元の姿を想像することは容易でない。そこで本研究は、国内3地点から道路粉塵を採取・分析し、その濃度分布と残留特性の解明を目的とした。また、道路粉塵中のMPと路上のプラスチック製品の材質および添加物質をそれぞれ比較・解析し、MPの発生源推定を試みた。 分析の結果、ほぼ全ての試料からMPが検出された。東京の道路粉塵からは180~340個/kgのMPが検出され、熊本・沖縄に比べて高値を示した。MPの材質は、熊本ではポリジアリルフタレートが多く、沖縄はポリエチレン、東京はポリエステルが卓越していた。加えて、ポリ塩化ビニルやアクリル樹脂のポリメタクリル酸メチルも比較的多く検出された。沖縄と熊本の道路粉塵では、MP濃度と各地点の車両交通量との間に有意な相関が得られた。道路塗料や道路サインにはプラスチックが含まれており、車両や通行人によりこれらが摩耗することでMPが発生する可能性が示された。 そこで劣化した路面標示片と、複数の道路粉塵中のMPを有機溶媒で抽出し、添加物質の測定を行った。その結果、一部のMPと路面標示片から同種かつ複数の添加剤が検出された。一方、他の粒子の添加剤の種類は劣化した路面標示のそれと異なっていた。本結果は路面標示は道路粉塵中のMP発生源であることを示唆しており、プラスチック添加剤はMPの起源推定のトレーサーになることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画が適切であったため、ほぼ問題なく研究を実施できていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた研究結果を学術論文にまとめて公表する。また、海洋のマイクロプラスチック発生源として注目される国内外の養殖施設で試料を採取・分析して、新たな知見を蓄積してプラスチックの環境負荷を低減させる方策を考えていく。
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Causes of Carryover |
マイクロプラスチック中の化学物質を測定する微量分析装置に不具合が生じ、部品交換のための費用捻出の必要性に迫られたため。
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