2020 Fiscal Year Research-status Report
Kinetics and Hazard Assessment of Indium from Environmentally Released IT Products
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19K12374
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
村田 智吉 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 主任研究員 (50332242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 未来 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 主任研究員 (50455250)
越川 昌美 (金尾昌美) 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 主任研究員 (80291045)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インジウム / 土壌汚染 / e-waste / レアメタル / 環境動態 / 降雨曝露 |
Outline of Annual Research Achievements |
サブテーマ1)IT廃棄物が降雨曝露された場合のインジウムの溶出特性の評価 プリント基板粉砕物、液晶パネル片をモデル試料に用い、所内の3か所(芝地,シラカシ林下、竹林下)にて降雨曝露溶出試験を行った。プリント基板粉砕物からは曝露降雨中に鉛、スズ、銅、ニッケルの他、アンチモン、コバルト、リチウムなどのレアメタル類など、多様な金属類が定性・定量された。しかし、半導体などに多用されているインジウムからの溶出は認められなかった。この背景には、プリント基板からはスズ(115Sn)が多量に溶出するため、質量数が重なるインジウム(115In)がICP-MSでは定量しにくい点も考えられた。液晶パネル片からは、ホウ素とインジウムの溶出が顕著に認められたが、多種類の金属が溶出することはなかった。 サブテーマ2)土壌の中で起こりうるインジウムの化学形態とその可動性の評価 上記モデル廃棄物を培養瓶を用いて土壌(黒ボク土表層土および下層土)に埋設後、二か月間静置培養し、培養後に添加廃棄物を取り出した。培養後土壌に水および1mol/L-塩酸抽出を加えて、土壌に拡散した金属を抽出定量した。プリント基板粉砕物埋設区からは降雨曝露試験同様、多種多様な金属類が溶出したがインジウムの顕著な溶出は認められなかった。一方、液晶パネル片埋設区では、降雨曝露試験同様、ホウ素とインジウムの顕著な溶出が認めれた。 サブテーマ3)インジウム汚染土壌が土壌の生物活性や生育におよぼす有害性の評価 インジウムの土壌微生物活性を評価するための実験条件(緩衝液組成、pH等)の検討を引き続き行った。また、コマツナ種子をもちいて、発芽伸長に与える影響を評価するための実験条件の検討を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
廃棄物片を用いた降雨曝露実験は順調に開始することができ、現在も継続できている。土壌埋設実験も予定通り土壌試料の準備、培養実験の実施、溶出元素の定量までが完了し、順調に進められていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は各種廃棄物の降雨曝露溶出試験をこれまで同様継続的に実施し、インジウムや各種元素と季節、土地利用形態、降雨特性との関係性について検証を重ねる。インジウムの土壌中での素反応評価を目的とした吸脱着試験を検討・実施する。また、生物相への影響を評価するため、インジウム添加による土壌微生物活性(主に酵素活性)の測定および種子の発芽伸長試験を実施する。 すべての実験結果を総括し、含インジウム廃棄物からの環境中での拡散様式と生物相への有害性を評価する。
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Causes of Carryover |
主に分担者使用額で翌年への繰り越しが生じてしまったが、年度末頃に予定していた各種元素の形態分析が年度を跨ぐスケジュールになってしまったこと、イオンクロマトグラフィーのカラム等の分析機器消耗品を購入予定だったものが年度を跨いでしまったことなどが原因となった。これらは最終年度早々に解消される予定である。
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