2021 Fiscal Year Research-status Report
レジオネラ属菌感染リスク評価のためのアメーバ内動態と菌種間相互作用に関する研究
Project/Area Number |
19K12376
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Research Institution | Kobe Institute of Health |
Principal Investigator |
中西 典子 神戸市健康科学研究所, その他部局等, 副部長 (50615490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野本 竜平 神戸市健康科学研究所, その他部局等, 副部長 (60642238)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レジオネラ属菌 / アメーバ / 全ゲノム解析 / RNA-Seq |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アメーバ内のレジオネラ属菌種間の相互作用に着目し、アメーバ内での動態およびゲノムワイドな多株比較解析からレジオネラ属菌種間のゲノム上の可動性遺伝領域の構造及び組換えの実態を明らかにし、さらにオミクス解析によるアメーバ内のレジオネラ属菌の挙動を分子レベルで明らかにする。 本年度は、レジオネラ症が発生した施設について、施設の環境から分離された菌株群と患者由来の菌株群に対してゲノム解析を実施して比較したところ、患者由来と施設由来でSNPsが5個以内になるペアが確認され、集団事例におけるゲノム解析の有用性が示された。一方で同施設の環境水から2013年に分離した菌株についても同時に解析したところ、SNPsが15個以内となるペアが複数確認できた。このことは同一の遺伝型の菌株が複数年にわたり同一施設に定着していたことを示唆しており、レジオネラがアメーバに寄生することで施設の消毒を逃れていた可能性がある。さらに、2018年、2019年に環境から分離して室温放置していた無栄養寒天培地からAcanthamoeba、Hartmannella、Naegleriaが発育してくることを確認した。また、種々の環境からL. pneumophilaとともに分離されたレジオネラ属菌の代表株である浴槽室由来のL. londiniensis、L. israelensis、L. micdadei、L. cherrii、L. rubrilucens、冷却塔由来のL. rubrilucens、L. anisa、土壌由来のL. longbeachaeについてNanoporeを用いて完全長配列を決定した。今後、発育してきたアメーバ内でのレジオネラ属菌の挙動を把握するためにオミクス解析を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い業務量が増加し、本研究のエフォートが下がってしまったため、進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの計画の遅れを取り戻すために、下記の項目について集中的に実施する予定である。 アメーバ内でのレジオネラ属菌の挙動を把握するためにオミクス解析を実施する。さらに、 アメーバ内におけるレジオネラ属菌異種間相互作用について、多株比較ゲノム解析からゲノム上の可動性遺伝領域(MGEs)の構造比較や組換えによるゲノムのモザイク化についても解析し、レジオネラゲノム上の組換えに関するホットスポットを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の検査対応のため業務負担が増加し、予定していた解析が実施できなかった。RNA-seqの試薬や比較ゲノムのための予定ゲノム解析対象株を増やし、次世代シーケンサー解析を含めた核酸配列解析用試薬として使用し、引き続き適切に予算を執行していく予定である。
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