2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of composting diagnosis method using microbial activity evaluated by numerical analysis of compost temperature
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19K12377
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
宮竹 史仁 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (70450319)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 堆肥化 / 発酵診断 / 温度 / 熱発生速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
良質な堆肥生産は、材料含水率や通気量の適切な調整が必要で、これらが発酵の良否に影響する。生産現場では不適切な肥化が散見されるが、これは発酵良否を判断するための知識と経験が不足していることが一因である。よって本研究では、これまでに堆肥化の研究者達が培ってきた基礎研究知見を生産現場へ容易に還元できる技術として、発酵工学的な指標による堆肥化の発酵診断プログラムを開発することを目的とした。なお令和3(2021)年度の研究については、令和2年度(2020年度)がコロナ禍などで研究活動を休止せざるを得なかったため、令和3年度に時期をずらして実施した(本研究は1年間延長し、令和4年度まで行う)。 令和3年度は、平成31(2019)年度に得られた微生物活性プロファイルの評価および分類を行い、且つ、これまで得られた学術的知見を加味して、堆肥の発酵診断の基準を作成することが目的であった。具体的には、熱発生速度プロファイルを使用して堆肥化の良否を評価・分類し、各堆肥化条件における発酵良否との相関性を明らかにして発酵診断の基準を検討した。 実験室規模の様々な乳牛ふん材料の堆肥化実験データを解析した結果、堆肥化反応に寄与する中温菌と高温菌のそれぞれの熱発生速度のピーク値ならびに堆肥化初期において堆肥温度が40℃から60℃まで上昇する時間の3つのパラメータを分類、点数化することで、堆肥化の良否判定をすることが可能であることが明らかとなった。とくに、この方法を用いることによって堆肥化が不良であった場合、75%の検出率で堆肥化の発酵不良を見極めることが可能であった。それ故、これらのパラメータの使用は堆肥化の発酵診断の基準として利用可能であることが示唆された。 以上のように、令和3年度は1年遅れの研究実施計画に基づき行われたが、研究自体は令和2年度の内容が計画通り遂行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の平成31年度においては、実験室にて小型堆肥化装置を用いて、異なる条件(材料、水分、通気量等)の堆肥化実験ならびに本研究室で保有している小型堆肥化装置による実験データの解析を行い、それらの堆肥温度から数値解析で得られる熱発生速度や比増殖速度を分析することで、発酵診断プログラムの基礎となる判定基準の学術的理論の構築を図った。また、それらの解析結果は、堆肥化の微生物活性の代表的指標である酸素消費・二酸化炭素排出速度等と比較することで、熱発生速度や比増殖速度の指標が発酵診断の判定として有効であるか検証された。その結果、微生物活性を顕す熱発生速度や比増殖速度の数値、トレンドグラフのパターンに明らかな差異があることが見いだされ、発酵診断プログラムの判定基準として有効性があることが示された。 そして令和2年度はコロナ禍で事実上休止となったため、実質2年目となる令和3年度は、令和2年度の課題を踏襲し、堆肥化の発酵診断プログラムの基準を作成することを目的とした。その結果、中温菌と高温菌の熱発生速度には高い相関性があり、中温菌のピーク値が40 kJ/ h/ kg-dm以上、高温菌のピーク値が50 kJ/ h/ kg-dm以上で堆肥化は良好であることが示された。これらのデータに、堆肥化初期に40℃から60℃にまで昇温する時間を調べたところ、24時間以内に上昇していれば適正な堆肥化であることが示唆された。これらの中温菌および高温菌の熱発生速度のそれぞれのピーク値、堆肥温度40℃から60℃までの温度上昇時間の3つのパラメータをそれぞれ点数化することで、発酵の良否判断が可能であることが示唆された。 以上のように、令和2年度はコロナ禍で研究は中止となったが、その分は令和3年度で挽回できており、延期が決定している令和4年度での研究完遂を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、平成31年度から令和3年度の3年間で終了予定であったが、令和2年度の新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、研究活動自体が全て停止した上、実験データの解析や堆肥化実験に必要な学生アルバイトなどのスタッフのキャンパス立入禁止などで協力を頼むことができず、加えて分析機器の故障などもあり研究活動は休止状態となった。そのため、令和3年度に研究の延期を申請し、認可されたため令和4年度に研究の完遂を目指す。 令和4年度の研究推進計画として、令和3年度の研究で示された堆肥化の発酵診断基準を用いて、実規模堆肥化試験のデータを加えながら、発酵診断基準の適合性を評価したいと考えており、科学に裏打ちされた堆肥化の良否が可能となる発酵診断技術の創出を図る。
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Causes of Carryover |
令和2年度(2020年度)から始まったコロナ禍や分析機器の故障などで研究活動がほぼ全面的に休止状態となったため、令和2年度の予算が、ほぼ全額に近い額が次年度に持ち越された。この令和2年度の予算については令和3年度で使用し、さらに本研究課題を1年延期し、令和3年度に計上していた予算を令和4年度に計上して使用する予定である。
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