2020 Fiscal Year Research-status Report
Application of Multi Layer Static Pile Forced Aeration Reactor for Effective Bio-drying
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19K12378
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
金子 栄廣 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60177524)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生物乾燥 / 生物系廃棄物 / 多段静置通気型反応器 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
1.模擬廃棄物を用いた乾燥実験 前年度に作製した多段静置通気型反応器を用いて乾燥実験を行った。いずれの実験でもドッグフードと木くずの混合物(乾燥重量比1:2,初期含水率65%)を模擬廃棄物として用いた。 本年度は,昨年度に引き続き,多段に充填した材料について「定期的に最下部の材料を取り出し,最上部に新たな材料を追加する」場合(交換あり)と「同じ反応器を用いるが材料の交換は行わない」場合(交換なし)について,通気量や温度は同じに設定した実験を行った。その結果,定期的に材料の取出しと追加を行った方が「最上部すなわち排気の温度を高く維持でき,同じ時間でより多くの水分を蒸発させることができること」が確認できた。また,同じ処理時間処理したときの製品の品質を比べると,材料の交換を行った方がより含水率の低い製品が取り出せることも確認できた。この成果は論文としてとりまとめ,(公社)全国都市清掃会議「都市清掃」を通して公表した。 2.シミュレーションプログラムの構築 昨年度に引き続き,多段型静置通気反応器(交換あり)による生物乾燥シミュレーションプログラムの構築に取り組んだ。問題なく作動することが確認できたため,1.で行った実験の材料条件ならびに運転管理条件を与えてシミュレーションを試行した。実験結果とシミュレーション結果を比較したところ,このプログラムにより概ね妥当な計算結果が得られることが確認できた。妥当性が確認できたので,このプログラムを研究者のホームページで公開し,希望者が自由にダウンロードして利用できるようにした。また,利用者の便宜を図るためのマニュアルも作成し,プログラムと併せてホームページに公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究では,申請時に初年度の研究計画として掲げた2つの事項,すなわち「実験装置の制作から模擬廃棄物を用いた乾燥実験の実施」ならびに「多段静置通気型反応器による乾燥過程シミュレーションプログラムの作成」を概ね達成できた。 今年度はその成果を踏まえ,さらに乾燥実験データを積み重ねた。また,シミュレーションプログラムについては,妥当な計算結果が得られることを確認し,プログラムを公開する段階にまで至ることができた。 申請時における2年度目の研究計画では「様々な材料条件,運転管理条件の下での乾燥実験」を実施することとしていた。このうち「様々な運転管理条件」についての実験は行うことができた。しかし,「様々な材料」を用いた実験を行うには至らなかった。 一方,「シミュレーションプログラムの完成」は3年度目の目標としていたが,これについては前倒しする形で進めることができた。 このように当初目的の一部は実施できなかったものの,他の部分については当初計画よりも先に進めることができたので,「おおむね順調に進展している」と判断させていただいた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画で示した内容のうち,未着手になっている「様々な材料を用いた実験の実施」と「シミュレーションプログラムを用いた最適運転管理条件の検討」を推進する。 実験については,材料となる模擬廃棄物の組成を変更することで対応する予定である。具体的には,ドッグフードと木くずの混合比を変えた模擬廃棄物を用いることで,材料の成分組成や物理性状が変わった場合のデータを収集する。 また,シミュレーションによる最適条件の検討については,今年度実験っを行った模擬廃棄物を念頭に置いて,通気量,通気温度,装置の断熱性,材料交換のタイミングなどの運転管理条件を様々に変えてシミュレーションを行い,これらの条件が乾燥に与える影響を評価し,最適な条件を提示する。これにより,本研究で開発したシミュレーションプログラムが材料特性に応じた最適運転条件を模索する際に有用であることを示す。 なお,2年度目までに得られた成果のうちシミュレーションの妥当性に関する内容は,令和3年度中にとりまとめて学会発表を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じてしまった理由はふたつある。 ひとつの理由は,学会参加のための旅費の支出がなかったことである。令和2年度には第31回廃棄物資源循環学会で研究発表を行った。この研究発表会は北海道大学(札幌)で開催の予定であったが,新型コロナウイルス(Covidー19)感染拡大防止の観点からオンライン開催となってしまった。そのため,当初計上していた学会参加のための旅費がかからなかったものである。 もう一つの理由は,論文投稿料の支出がなかったことである。令和2年度には「都市清掃」に論文投稿を行ったが,論文投稿料が無料であったため支出が生じなかった。 なお,令和3年度には「8.今後の研究の推進方策」で述べた通り,昨年度に行えなかった実験を行う予定であるため,この実験に必要な資材および機材の購入に充当したい。
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Research Products
(3 results)