2021 Fiscal Year Annual Research Report
イオン交換サイトの拡張とナノサイズ結晶化による高機能吸着材の開発
Project/Area Number |
19K12383
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
西岡 洋 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (30218119)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 吸着材 / チタノシリケート / ETS-4 / ストロンチウム / セシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、イオン交換サイトを増大させることにより高吸着能を有する無機イオン交換体の開発である。特にセシウム(Cs)吸着に適した結晶性ケイチタン酸塩(CST)、ストロンチウム(Sr)吸着に適すると考えられるETS-4及びそれらのナノサイズ結晶を分散した状態で保持する構造材としての多孔質シリカゲルを合成段階において同時に均一に保持するように設計を行い、原発事故後の汚染水を含む環境浄化に貢献することを目的としている。当該年度における計画としては、最適組成を明らかにし、実用性の高い吸着材の創製と評価を実施することを目的としている。前年度では、原料をチタン酸ナトリウムとケイ酸ナトリウムに限定し、それぞれの種類について検討した結果、ETS-4の合成にはチタン酸ナトリウムとしてNa8Ti5O14が、ケイ酸ナトリウムとしてNa2Si2O5が、それぞれ有効であることを確認した。これらの比率を変えることで特にa軸配向性を高めることに成功した。またチタン酸ナトリウムとケイ酸ナトリウムの比率を固定した条件では、合成時間を調整すればa軸とc軸の配向性を制御できることを認めた。a軸優先配向型のETS-4ではSrに対する分配係数や吸着率が向上した。第一原理計算を用いてETS-4結晶の各面の平均有効電荷を計算した結果、ac面の負電荷が最も大きかった。以上の結果より、Srを効率よく回収するためにはa軸方向に伸長したETS-4が適しており、Sr,Csをバランスよく回収するためにはa軸c軸がともに伸長したETS-4が適していることを明らかにした。なお、ドライゲルコンバージョン(DGC)法では、ETS-4合成の最適組成であってもETS-4は生成せず、他のチタノシリケートであるNatisiteが得られた。このNatisiteはランタノイド系イオンの吸着性を示したため、その吸着特性について検討した。
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