2021 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化防止と地域環境浄化の融合-油性藻クロレラのAsストレス応答での新展開
Project/Area Number |
19K12384
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
佐藤 典裕 東京薬科大学, 生命科学部, 准教授 (50266897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 祥子 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (30266895)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クロレラ / トリアシルグリセロール / ヒ酸 / Asストレス / 光合成 / 呼吸 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
クロレラ細胞は、ヒ酸(As)ストレス下、バイオディーゼル燃料の原料となるトリアシルグリセロール(TG)、そしてAsを蓄積する。したがって、クロレラは地球温暖化抑止とAs汚染水浄化の両立に利用できると期待される。しかし、その産業化にはTGやAsの収量増大が必要である。本研究では2021年度、クロレラのAsストレス誘導性TG蓄積について、その基盤となる炭素・エネルギー代謝の調節を解析した。 光合成阻害剤であるDCMUとDBMIBを用いた実験から、Asストレス下、前期(0-24h)・中期(24-48h)を通し、光合成はTG合成の前駆体や化学エネルギーの供給源として貢献すると示唆された。このうち、前期では光合成活性は減少したが、その残存活性が重要で、そして中期以降では循環的光合成電子伝達系が活性化され、その貢献度が高まると示唆された。さらに、これらの光合成機能調節は関連遺伝子のmRNAレベルの増加を伴った。 一方、呼吸阻害剤であるKCNを用いた実験からは、前・中期を通して、呼吸も光合成より貢献度は低いもののTG蓄積に必要であると示唆された。したがって、有機化合物の異化もTG合成のための前駆体や化学エネルギーの供給源となるのであろう。主要な炭素貯蔵化合物であるデンプンは前・中期を通して、またタンパク質は特に中期において、分解された。これに対応して、各々の分解に関わる酵素遺伝子のmRNA量は増加した。したがって、デンプンは前・中期の呼吸基質として、タンパク質は特に中期以降の主要な呼吸基質と考えられた。 以上より、クロレラでのAsストレス誘導性TG蓄積は、遺伝子発現制御に基づく炭素・エネルギー代謝の調節により成立することが示唆され、したがって、今後、この制御系の遺伝子操作がTG蓄積能を強化する上で有効な鍵となると考えられた。
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Research Products
(6 results)