2019 Fiscal Year Research-status Report
生物・凝集処理を同時に行う染料廃水の省エネ・ゼロエミッション型廃水処理装置の開発
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19K12392
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Research Institution | Kagawa National College of Technology |
Principal Investigator |
多川 正 香川高等専門学校, 建設環境工学科, 准教授 (30390511)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 染色排水 / 脱色 / 凝集沈殿 / 好気性処理 / 嫌気性処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
タイではTシャツなどの繊維加工・染色が中国に替わって盛んになっており、近年染色工場から排出される排水の色除去について政府は色度300(ADMI)以下の排水基準を設けたが、達成には既設の活性汚泥処理に追加してオゾン処理などの高度な排水処理施設が必要であり、早急に安価なプロセスの開発が要求されている。本研究課題ではタイの染色工場について、現状の排水処理設備のプロセスや設備容量、排水の処理水質を処理工程ごとに詳細な調査を行い、現状の問題点を把握した上、処理方式や運転方法の問題点を抽出し、研究課題にて開発するリアクターシステムの有効性を実証するものである。 工場の排水処理設備の調査では、凝集沈殿は水路型の凝集槽にて原水に対しpH調整も一部兼ねて凝集剤(チタニウムTiCl4および高分子ポリマーの2液凝集)が水路を通過する間混合され、沈殿槽にて沈殿分離されていた。処理水は,直列の第1曝気槽(容量1,056 m3, 滞留時間25.3hr)、第2曝気槽(容量1,305 m3, 滞留時間31.3hr)へ送られ、最終沈殿槽にて汚泥を沈殿した後、上澄水が処理水として河川に放流された。 水質分析の結果、染色排水のBODは最終処理水で20mg/Lと高い除去率が得られていたが、CODcrは687mg/L、SS 182mg/L、着色度4,700と、タイの排水基準をオーバーしていた。溶解性のCODcrも328mg/Lと高濃度で残存しており、ろ過処理水の着色度も2,357残存していることから、用いられている染料は好気性条件では分解しづらく、かつ凝集沈殿でも脱色が困難であることが判明した。 上記の結果をふまえ、循環型嫌気性および好気性DHSリアクターを設計、製作し、タイの工場にて使用されている染料6色について、人工的に排水を作成し、リアクターへの排水供給試験に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タイ国内の染色工場の排水処理施設の調査、水質分析、またその結果をふまえた循環型嫌気性および好気性DHSリアクターの設計、製作も完了し、リアクター内に設置する凝集剤の準備も完了しており、概ね計画どおりに進行していると判断した。しかしながら、今後海外への渡航が困難なため、現地での実証について課題となることが予想される。また、実際に工場で使用している染料の嫌気性生物分解が予想よりも遅く、分解に適した生物叢の構成、維持には予定よりも時間がかかるものと予想された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は海外での渡航、長期の実験は困難であると予想されるため、工場内で使用されている実際の6色の染料を用いて、すべて混合したものや単一色などの条件にて、研究開発するリアクターシステムでの色度の除去効果や構成微生物叢の解析を丁寧に行う。
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Causes of Carryover |
工場で使用する染料の嫌気性DHSリアクターにおける分解速度は当初の予定よりも時間を要し、本年度は分析の頻度と回数が少なかったため、次年度使用額が増加した。今後は嫌気性DHSに加えて好気性DHSの運転も開始し、構成微生物叢の解析などに取り掛かるため、本年度に使用する見込みがある。
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Research Products
(2 results)