2020 Fiscal Year Research-status Report
生物・凝集処理を同時に行う染料廃水の省エネ・ゼロエミッション型廃水処理装置の開発
Project/Area Number |
19K12392
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Research Institution | Kagawa National College of Technology |
Principal Investigator |
多川 正 香川高等専門学校, 建設環境工学科, 准教授 (30390511)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 染色排水 / DHS / 嫌気性+好気性 / 二相式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、無曝気・低コストである嫌気性微生物による脱色システムの開発を目的とし、嫌気性DHSリアクターによる通水処理実験を行い、染色原排水の染料の組み合わせや着色度、栄養塩の添加、共存有機物などを変化させ、脱色能力の把握を行った。また、嫌気性DHSと好気性DHSを直列にした、二相式の処理システムにおいても同様に原排水の条件を変化させ、処理能力特性を把握した。 連続実験は、タイの染色工場に実際に使用されている6つの染料(赤,青,黒,黄,橙,青緑)から個別色ごとに染色排水を作成し、混合後着色度4,000程度になるように染色原排水を作成し、嫌気性DHS単独もしくは嫌気性DHS+好気性DHSを直列した二相式処理システムを用いて通水実験を行った。また、有機物はデンプン懸濁液を混合し、窒素、リンの栄養塩類も嫌気性処理に必要な比率(COD:N:P=500:5:1程度)に調整した。 嫌気性DHS単独の処理試験では、72時間経過後から除去率は大きく低下し、384時間経過後で-14%に達した(処理水の方が染色原排水よりも着色度が高い状態)。そこでCOD:N:Pの比率をより過剰な条件で整えた排水を約400時間、連続通水実験を行ったが、顕著な脱色が見られなかった。 嫌気性DHS+好気性DHSの二相式処理システムにて連続通水実験を行った結果、植種微生物として牛糞や都市下水消化汚泥、腐葉土抽出液などをさらに追加し、6色混合の染色排水の連続処理実験を行った結果、現段階では30%程度の除去率までしか向上しなかった。今回の研究に使用した染料を連続処理装置にて脱色を安定的に行うには、低下の理由を更に考察し、微生物群集構造解析などを継続的に行い、追跡調査を行う必要があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リアクターを用いた実験は計画ではタイの染色工場で実施する予定であったが、COVID-19の感染拡大のため、渡航が不可能になり、実施が難しくなった。代替として染料をタイから入手し、校内の設備にて連続通水試験を行い、データを採取した。
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Strategy for Future Research Activity |
より詳細かつ有用な染色排水の連続処理実験を実施するには、渡航が可能になり、タイでの染色工場の実排水での実験が必要である。来年度で終了の予定を1年間延長し、実現できるように調整したい。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大により染色工場のあるタイへの渡航が不可となり、現地での実証実験ができなかった。今後感染の終息を見て渡航、現地実験を検討するが、本年度も難しい場合、研究期間の延長を検討する。
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