2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of wood-based carbon as supercapacitor electrodes recyclable for high CO2 storage material
Project/Area Number |
19K12396
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑 俊充 京都大学, 生存圏研究所, 講師 (10243099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 千晶 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林産試験場, 主任主査 (70446334)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CO2吸着 / エネルギー貯蔵 / ガス吸着等温線 / 透過電子顕微鏡 / 木質多孔炭 / ボールミリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、カーボンニュートラルである木質多孔炭を用いて、CO2吸着とエネルギー貯蔵の両方を実現することで、CO2排出量を減らすことを目標としている。地球温暖化問題の解決のために、大気中における二酸化炭素濃度の吸蔵や太陽エネルギーを利用して発電した電気エネルギーの貯蔵により、エネルギーへのアクセスと気候変動問題の2つの課題を解決しようとする目論みである。そのため、二酸化炭素吸蔵や電気の貯蔵において重要な役割を果たすと思われるナノ空隙に着目した。高いCO2吸着性能を発現する木質多孔炭を製造するために、種々の条件で製造した木質多孔炭を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察し、得られたTEM像の画像解析結果から、CO2吸着に最適な空孔径分布を持つ木質多孔炭を製造する条件を検討した。 トドマツ炭化物の表面積と0℃、大気圧下でのCO2吸着量は、K2CO3を用いて600℃賦活を行ったサンプルの方が、KOHを用いて賦活をおこなって得たサンプルよりもよりも大きくなった。これらのサンプルの炭素前駆体製造時に熱処理時にNH3ガスを流したところ、0℃のCO2吸着量が向上した。この機構を空孔径分布から調べるため、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて観察を行った。熱処理および賦活条件によってミクロ孔主体の微細空隙が形成され、その空孔径分布は熱分解および賦活条件により変化した。NH3ガスによる窒素ドープ処理を行ったサンプルにおいてCO2吸着量が向上したことから、CO2吸着に有効な空孔径の範囲、0.63-1.0nmを形成するために、窒素ドープがカギを握っていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
350℃で熱処理した木質を、高温で炭化することにより、木質多孔炭の空隙構造を発達させた。CO2吸着や電気の充電のために、賦活を行った木質熱処理物のナノ空隙構造を調べ、熱処理条件が、得られたナノ空隙を含む多孔質炭素の空孔径分布へ与える影響を吸着装置 (ASAP)と透過電子顕微鏡(TEM)を用いて解析した。 ドドマツ木粉に対しボールミリング処理(250rpm, 16hr)を行った後、循環式オーブンおよび電気炉を用い、350℃で熱処理を行った。熱処理物1 gとKOH 1 gを用いて混合した。120℃で 15 時間乾燥した後、昇温速度 10℃/分で 600または800℃まで昇温し、1時間保持した。蒸留水で 中性になるまで洗浄し、120℃で15 時間乾燥することにより活性炭を得た。得られたサンプルについて、吸着装置およびTEM1)を用いて測定・観察・解析を行った。 処理後の各サンプルの0℃下でのCO2吸着によって得られた吸着等温線をNLDFT法により解析した。熱処理および賦活条件によってウルトラミクロ孔主体の空隙が形成し、その空孔径分布は条件により変化させられることがわかった。NLDFT法では1nm以下、TEMによる画像解析では1nm以上の詳細な空孔径分布が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
密閉式ジルコニア製粉砕容器を用いボールミリングによりナノファイバー化したトドマツ粉末に賦活剤を付与し木質多孔炭を調製したところ、トドマツ粉末の炭素面間隔は多少小さくなったが、ファイバー化された木質多孔炭の表面積およびCO2吸着量の向上はみられなかった。そこで、賦活剤として用いたKOHの代わりにK2CO3を賦活剤に用いたところ、木質多孔炭の表面積およびCO2吸着量がKOHの時と比較して約1.4倍向上し、賦活剤の種類を変えることがCO2吸着量の向上に直接的に影響を与えることが明らかとなった。得られたTEM像に対して2次元高速フーリエ変換(2D-FFT)を適用し、得られたパワースペクトルの中心点について積分を行ったところ、CO2吸着に最適な空孔径の範囲、0.63-1.0nmを得られることがわかった。炭素前駆体の製造を行う際の熱処理条件だけでなく、賦活剤の種類が木質多孔炭の空孔径分布へ及ぼす影響を調べ、今後、CO2吸着および静電容量に対して有利なナノ空隙を形成するための条件を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた学会がオンライン開催となり、旅費を支出する必要がなくなったから。炭素のガス賦活に必要な消耗品を購入する予定である。
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Research Products
(3 results)