2019 Fiscal Year Research-status Report
スラウストキトリッドの脂質生産特性の評価と食品残渣のエコフィード化促進への応用
Project/Area Number |
19K12398
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中井 智司 広島大学, 工学研究科, 教授 (80313295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西嶋 渉 広島大学, 環境安全センター, 教授 (20243602)
新居 隆浩 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (90804873)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スラウストキトリッド / エコフィード / 高度不飽和脂肪酸 / 食品残渣 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、食品残渣を用いてドコサヘキサエン酸(DHA)などの有用物質を生産するスラウストキトリッドを培養し、食品残渣と同微生物バイオマスの混合物を、家禽生産物を高価値化させる飼料として利用する手法を確立することを目的である。今年度は、新規株の炭素源、窒素源の要求性評価に着手すると共に、脂質生産に好適な食品残渣の予備的検討、ならびに基質や培養条件が脂質生産量や組成に与える影響の評価を開始した。炭素源として、グルコース、フルクトース、スクロース、ペクチンといった糖類や糖酸、酢酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムといった脂肪酸を用いて新株を培養した結果、ググルコースが最も高い増殖能、脂質生産能を示した。このときの脂質含有量は概ね50%に達した。一方、ペクチンや酢酸ナトリウムを用いた場合でもグルコースと同レベルの増殖能を示すことが確認された。しかしながら、スターチやオレイン酸など分離量の大きいものについては利用能は低かった。また、温度は塩分濃度、pHは増殖や脂質生産性に影響することを認めた。脂肪酸を分析した結果、25℃、pH7においてはグルコースを用いた培養では脂肪酸総量が400 mg/gに達し、DHAは200~300 mg/g含まれたが、EPAは数mg/gであった。この他、ある種の食品残渣を用いた結果、EPAの生産が多くなり、含有するDHA/EPA比は小さくなった。さらにこの食品残渣を家禽に給餌する試験を行い、家禽に給餌可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終目的の達成に不可欠である好適な食品残渣を見出すと共に、それによってEPAの含有比が増加することも確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、窒素源の利用可能性と共に、EPAの含有比が増加した食品残渣に着目し、EPA含有比が増加した原因を探る。また、スラウストキトリッドの大量培養を行うと共にその産物を用いて家禽類への給餌試験を試行し、本研究で提案するシナリオの実現可能性を検証する。
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Causes of Carryover |
植物性食品残渣を用いた簡便な培養が塩分とpH調製のみで可能となり、他の薬剤の使用が不要となったため、次年度使用額が生じた。この分は令和2年度助成金と合わせて脂肪酸分析に要するヘリウムガスボンベの購入に使用する。
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