2019 Fiscal Year Research-status Report
ナノコロイドー高分子コンプレックスに基づく省エネ調湿用ナノ繊維開発
Project/Area Number |
19K12404
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
清田 佳美 東洋大学, 経済学部, 教授 (60216504)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 熟人 明治大学, 理工学部, 専任講師 (50611109)
鈴木 孝弘 東洋大学, 経済学部, 教授 (30192131)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 調湿剤 / 高分子繊維 / 剪断場 / 紡糸 |
Outline of Annual Research Achievements |
文献データベース調査により、調湿を目的とする吸着剤に関する最近の研究をレビューした。高分子ナノ繊維を用いた調湿に関わる研究は見当たらなかったが、高分子ナノ繊維を作製する研究論文を多数収集した。ナノ繊維を合成する研究はほぼ全てが静電紡糸による手法を適用していた。本研究課題で検討する剪断場を利用して高分子溶液からナノコロイドとのコンプレックスを形成して紡糸する検討の新規性を確認できた。二相系の合成については引き続き文献調査を進めることにした。今年度は種々のシリカコロイド溶液とPVA水溶液を接触させてゲル化する条件を検討した。溶液条件とコロイドの種類によってゲル化する条件を見いだしたものの、ゲル化時間が長く、実用的ではないと判断した。いくつかの学会に参加して情報収集した結果、金属コロイドとPVAにおいて比較的早くゲル化することが報告されていたので、次年度は金属コロイドとの組み合わせを検討する道筋を立てることができた。この一方で、多孔質のPVAゲルを種々合成し、その多孔構造と調湿特性の相関性を調査する基礎データを取得した。この目的で、温度および湿度をモニターしながら吸着剤の吸湿速度及び脱湿速度を測定する調湿試験装置を構築した。多孔質PVAについては、調湿性能が確認でき、吸湿速度データを評価するための二種類の解析モデル(吸着速度モデルおよび拡散収着モデル)を構築した。このモデルを用いた数値シミュレーションにより、吸着剤に求められる構造要件についてまとめた。紡糸するための二重管ノズルを備えたマイクロセルの設計と試作を行った。試作にあたり、3Dプリンターおよびマイクロガラスキャピラリー作製装置を導入した。プロトタイプとなる紡糸セルを作製し、今後の設計上の課題を把握した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献データベースによる既往の類似研究の調査、調湿特性評価用の測定系の構築、紡糸セルのプロトタイプの設計と試作を順調に終えている。二重管ノズルを備えた紡糸セルについてはノズル形状と得られる繊維特性についての相関データの取得が遅れている。予定していたスケジュールがコロナウイルスの影響により遂行できなかったためである。水性二相分配系による紡糸に関する文献調査は検索が不十分であるため引き続き行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究計画に沿って研究を推進する。二重管ノズルの形状と紡糸繊維の特性について相関データを取得する(遅延している課題)。金属コロイドとPVAのコンプレックスに基づく紡糸について検討する。いずれもセルの形状、ゲル化液の組成、紡糸の操作条件と繊維形状、得られた繊維の調湿性能データを順次取得して、繊維の物理化学的構造・性状と調湿機能についての体系的なデータ取得を図る。
|
Causes of Carryover |
R2年度に開催の国際会議に参加・発表登録したものの、コロナウイルスの影響により学会が中止になることが決定したため。参加登録費(宿泊費含む)を立て替え払いしたものの、中止決定により支払い請求を取下げたため。研究に関する備品および消耗品について研究規模を縮小し、配分予算内で収まるように実施したことによる。
|
Research Products
(2 results)