2020 Fiscal Year Research-status Report
Extracting condition of useful components from biomass by high hydrostatic pressure treatment and ionic liquid and its mechanism
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19K12405
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
清水 昭夫 創価大学, 理工学部, 教授 (20235641)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イオン液体 / バイオマス / 抽出 / クロレラ / セルロース / 温度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は大きく以下の3点を調べた。 (1)バイオマスを溶解するために必要なイオン液体である1-Alkyl-3-metylimidazolium acetate(以下[CnMIm] [OAc])のn=1, 3, 6を合成し、NMRで純度確認して十分な純度のものを得ることができた。 (2)セルロースの溶解に対する [EMIm][OAc]-DMSO混合液濃度・温度の影響をイオン液体濃度が20, 50, 100 wt%で温度25℃から120℃で詳細に調べた。その結果、20 wt%セルロース溶解度が率いにもかかわらず分解率が高かった。一方、50と100 wt%の溶解度は75℃付近までは温度が高くなると増加する傾向が見られたともに各温度での溶解度に2つの濃度で有意な差はなかった。しかし、100,120℃と温度を上げても50 wt%では溶解度が増加しなかったのに対し、100 wt%は増加した。また、50と100 wt%では100土井城では急激に黒色化および分解が起るが、100 wt%の方が50 wt%より抑制されることも分かった。興味深いことに120℃での黒色化および分解率は溶解度と非常にきれいな負の相関があることが分かった。さらにセルロースの構成物質であるグルコースの黒色化初速度とセルロースの黒色化初速度とは日所に良い正の相関を示し高温にすると単糖に分解し、それがさらに分解していくことが示された。 (3)クロレラを粘性も低くセルロースの溶解度も高い60%[EMIm][OAc]-DMSO混合液で処理するときの溶媒量および溶解時間の検討を行った。その結果クロレラに対して10倍量の重量があれば十分であることが分かった。また、溶解時間も30分で十分であることが明らかとなった。溶出した脂質を有機溶媒で抽出した結果、抽出溶媒により抽出された脂質量および脂肪酸量が異なり、今後さらに検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオン液体 [CnMIm] [OAc])n=1, 3, 6に関しては合成が順調に進み純度の高いものを合成することができた。n=2, 4に関しては比較的安価で購入可能であったため市販品を用いることとした。 セルロースの溶解条件に関してはほぼ決定することができた。また、高温で起こる黒色化および分解に関して定量的な情報を得ることができた。また、黒色化に関しては初速度も求めることができた。さらにセルロースの構成成分であるグルコースに関係する可能性が高いとが分かってきた。これらの結果はイオン液体によるセルロース溶解のメカニズムの解明の一助となる。また、藻類であるクロレラからの有用成分(脂質)の溶解条件、具体的にはクロレラに対するイオン液体[C2MIm][Ac]の割合、溶解時間をほぼ決定することができ、今後溶解液から脂質抽出溶媒と抽出量および抽出される脂肪酸の組成を検討する段階まで進めることができた。さらに、結果のところには書かなかったが溶解に用いたイオン液体-DMSO混合液の溶液物性である粘度および密度データも一部得ることができ、今後、これらのデータとの関係も議論できる可能性が出てきた。本年度は静水圧処理に関してはあまり行わなかったが、木粉を前処理として静水圧処理してその後酵素による加水分解を行うための酵素反応条件を詳しく検討することができた。高静水圧処理方法自体は確立しているので来年度は高圧処理による影響に関する情報が得られることが期待できる。 以上のことから全体の進捗状況としてはほぼ予定通り進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
セルロースの溶解(溶解度、黒色化、分解率)に対する(C2MIm][OAc])-DMSO混合液の組成および温度の影響に関してはデータがほぼそろってきたので国際誌への投稿準備を進める。また、(Cn2MIm][OAc])-DMSO混合液においてはnおよび温度の影響を調べ、溶解度および分解率に対するイオン液体のカチオンのアルキル鎖によりなぜ異なるかそのメカニズムに関する情報を得る。クロレラからの脂質抽出に関しては溶解時間および溶媒組成はほぼ決定することができたためそのごの溶解液からの脂質抽出溶媒の種類を変えて抽出溶媒と抽出量および脂肪酸組成がどのように変わるか明らかにする。最後に静水圧による前処理の影響に関してはセルロースの溶解および木粉に対して試みる予定である。セルロースに関しては静水圧で前処理したものを(C2MIm][OAc])-DMSO混合液で溶解すると溶解量が増えるのかあるいは溶解時間が短縮されるのかを調べる。木粉に関しては木粉を最大水中あるいは(C2MIm][OAc])-DMSO混合液中で最大200 MPaまでで静水圧処理を行いその後木粉を回収しイオン液体を回収除去した後セルラーゼで加水分解を行い未処理のものに比べどこまで加水分解し糖を生成させることができるか調べていく。以上の結果をまとめてイオン液体および静水圧前処理のバイオマスから有用成分の溶解および抽出条件およびメカニズムのまとめを行う。
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