2019 Fiscal Year Research-status Report
クマ出没の空間的同調性にもとづく豊凶モニタリングの検討
Project/Area Number |
19K12412
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
水谷 瑞希 信州大学, 教育学部, 助教(特定雇用) (20630354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野間 直彦 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (80305557)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 野生動物管理 / ツキノワグマ / ブナ / ミズナラ / コナラ / 豊凶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はクマ出没傾向の空間的同調性に着目して,クマ大量出没の事前予測に必要となるブナ科樹木の堅果類の豊凶の状態を合理的に把握しうるモニタリング調査(豊凶モニタリング)のデザイン(地域区分,サンプリング方法など)やプロトコルを提示することを目的として,中部地方を対象に,クマ出没数の年変動パターンの時空間解析と豊凶モニタリングの評価などに取り組んでいる。 2019年度は,1)都道府県からの関連情報の収集・ヒアリング,2)長野県を対象とした解析の試行,3)豊凶モニタリングに関連する調査を行った。1)については,長野県,福井県,石川県などから情報を得た。その結果,近年,クマ有害捕獲においてくくり罠への錯誤捕獲が占める割合が大きくなってきており,秋の大量出没とのデータの区分が必要であることが明らかになった。また2019年度は日本海側でクマ大量出没年となった。2)については,2次メッシュ(約10km×10kmの区画)単位のクマ捕獲頭数の経年変化パターンを,自己組織化マップ(SOM)を用いてグループ化することにより,長野県を3~4グループに地域区分することができた。ただし1)で明らかになった錯誤捕獲の影響の排除や,県境や山中など捕獲実績が少ない地域の取り扱いは,引き続き課題である。3)については福井県において個体識別したブナ,ミズナラ,コナラの結実状態の継続調査を行った。また石川県において,雄花序数を指標とした早期豊凶予測の精度向上を目的として,ミズナラとコナラの開芽フェノロジーを調査した。 このほか,ブナ科樹木の豊凶に影響を及ぼす可能性があるマイマイガの広域的な大発生履歴をとりまとめ,中部森林学会(2019年12月,岐阜)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各県行政機関との連絡,調整を十分に行うことができなかった。これは当該地域において野生イノシシでCSF(豚熱)が発生し,野生動物管理を所管する県担当課の業務量が急増することが懸念されたことから,行政担当者への連絡を控えたためである。これらの県については状況が落ち着いた年明け以降に調整を行うことを予定していたが,今度はコロナ禍により実施できない状況となった。またあわせて,関連するシンポジウム,会議,学会等も中止となり,予定していた研究情報の収集や意見交換も行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
CSF(豚熱)を巡る状況はある程度落ち着いてきたことから,新型コロナの状況を見極めながら,できるだけ早く行政機関との連携体制を構築し,情報収集に努める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは,イノシシのCSF発生により各県との協議が半分程度しかできなかったこと,また3月に参加を予定していた学会とシンポジウム,共同研究者との打合せなどがコロナ禍によりすべて中止となったためである。これらの出張は今年度の実施を目指す。
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Research Products
(1 results)