2019 Fiscal Year Research-status Report
Modelling animal home range using advection-diffusion equations and its application to wildlife management
Project/Area Number |
19K12425
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
深澤 圭太 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (90617101)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 空間標識再捕獲モデル / ヒグマ / 個体密度推定 / 捕殺率 |
Outline of Annual Research Achievements |
空間情報付きの標識再捕獲調査と同時に狩猟等による死亡個体の回収が行われる状況下で個体密度や捕殺率を推定するspatially-explicit capture-recapture-recoveryモデルを構築した。知床半島において2018年に実施されたヒグマの糞サンプルに基づくDNA標識再捕獲データおよび狩猟や有害鳥獣駆除などによる捕殺個体の一覧を収集し、57個体分、54の標識再捕獲記録と30頭の捕殺個体情報を得た。このデータに対してspatially-explicit capture-recapture-recoveryモデルを適用し、周辺尤度最大化法によりパラメータ推定を行った。0.052頭/km2 (95%CI: 0.033, 0.080)という推定が得られた。そのうち、オスの密度は0.022頭/km2 (95%CI: 0.012, 0.033)、メスは0.030頭/km2 (95%CI: 0.013, 0.058)であり、ややメスの比率が高いという結果が得られた。また、ホームレンジサイズに対応するパラメータσはオスで4.82 (95%CI: 3.91, 5.95)、メスで4.00 (95%CI: 3.05, 5.25)であり、オスのホームレンジがより大きいという一般的な傾向と一致した。そして、捕殺率はオスで0.36、メスで0.19であった。今回使用したサンプルはクマが出没しやすい集落や農地周辺に偏っているため、半島全体の捕殺率と比較すると高い値が推定されると考えられる。これらの結果から、知床半島においてはホームレンジの大きなオスがより人間と軋轢を起こしやすい状況にあり、それに伴う捕殺リスクも高いという状況が明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去のデータの取得が順調に進み、データ解析の試行まで実施できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、知床半島全体を対象としたヘアトラップ・糞サンプリング調査データをもとに、半島全体の推定値を得ることを目指す。また、動物の行動プロセスを明示的に組み込み、ホームレンジ形状が地形や土地被覆の要因によって変化するモデルの構築を進め、想定する行動モデルの違いが密度推定に与える影響を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
研究員の公募を行ったが不調であり、人件費の執行がなかったため。また、台風被害やコロナ禍により予定していた調査や学会参加が中止となったため。これらの予算は今年度の人件費や、出張費、物品費に使用する予定であるが、コロナ禍による制約を勘案しながら柔軟に判断する必要が生じている。
|
Research Products
(3 results)
-
-
-
[Presentation] カメラトラップ調査と捕獲情報からイノシシの個体数を推定する―福島県での試行―2019
Author(s)
川本朋慶, 諸澤崇裕, 橋本琢磨, 青木正成, 菅野貴久, 川口敏典, 荒谷友美, 須藤哲平, 田中英輝, 大久保慶信, 芳賀友洋, 深澤圭太
Organizer
日本哺乳類学会2019年大会