2020 Fiscal Year Research-status Report
Modelling animal home range using advection-diffusion equations and its application to wildlife management
Project/Area Number |
19K12425
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
深澤 圭太 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (90617101)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒグマ / 空間標識再捕獲モデル / 移流拡散方程式 / Fokker-Planck方程式 / 景観生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
不均一な景観における個体密度・動物にとっての移動障壁・場所への執着・死亡リスクの空間分布を明らかにするため、移流拡散方程式に基づくホームレンジ形成モデルを組み込んだ空間明示型標識再捕獲回収モデルを開発した。個体のホームレンジ中心は環境依存の平均個体密度を強度関数とする不均一ポアソン点過程に従い、平均個体密度に対する環境要因の効果をデータから推定することができる。また、個体の存在確率分布は場所への執着に相当する移流項とランダムウォークに相当する拡散項をもつ移流拡散方程式の平衡解として得られ、それぞれに環境要因を組み込んで場所への執着と移動障壁の空間分布を推定することが可能である。パラメータ推定は個体ごとのホームレンジ中心座標を周辺化消去した周辺尤度の最大化により行うことができる。 開発したモデルを知床半島におけるヒグマの標識再捕獲回収データに適用した。標識再捕獲調査は、2019年にヘアトラップと糞サンプリングのルートセンサスにより行われ、DNAによる個体識別が行われている。また、同時期に捕殺個体の回収と照合が行われている。推定の結果、場所への執着は人間の活動域に近いほど弱いことが明らかとなった。そのような場所で人為死亡リスクも高いことが明らかとなり、人間の干渉によるストレスがヒグマの行動パターンを変化させている可能性が示唆された。また、個体密度の分布と人為死亡リスクは負の相関があり、当該地域でのゾーニング管理が有効に機能していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルスの流行による調査の中止等があったものの、統計モデルの基本的な大枠の実装が完了し、安定した推定計算を行うためのプログラムも実装できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、知床におけるヒグマ糞の任意サンプリングデータも組み込むことで、移動障壁の推定の精度を高める。また、富山県のツキノワグマなど他地域にも展開し、開発した手法が広く応用可能であることを示す。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの流行により調査が実施できなかったことや、被雇用者の産休・育休のために計上していた人件費の執行がなかったため。翌年の人件費として使用し、コロナウイルスの終息の傾向次第では調査旅費にも充てる。
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Research Products
(1 results)