2019 Fiscal Year Research-status Report
地域住民の生計維持・権利の保障と森林保全が実現可能な慣習林政策の検討
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19K12442
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
原田 一宏 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (00372087)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慣習林 / インドネシア / ブータン / 森林政策 / 生計 / 権利 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、小課題1、2に関して、文献調査およびフィールド調査を実施した。各課題の具体的な進捗状況は次のとおりである。 小課題1に関しては、インドネシアのスマトラ(ジャンビ州、北スマトラ州)では、住民による慣習林管理がなされ、慣習林が地方行政によって承認されたものの、現時点では中央政府にはまだ承認されていないことが明らかになった。また、バリでは、住民による慣習林の管理が強固に行われていることが明らかになった。ブータンでは、長年にわたって落葉採取の場として慣習林を利用してきたが、法的に慣習林が国有林に吸収されてしまったこと、慣習林に対する住民の認識が人によって異なり、それが住民間の軋轢を生させる原因となっていることが明らかになった。 小課題2に関しては、インドネシアでは慣習林が法的に国有林から除外され、現在インドネシアの多くの慣習林が、地方行政に承認されるプロセスにあることが明らかになった。ブータンでは、2007年に土地法が発行され、慣習林の登録が削除され、法的には落葉採取林である慣習林は政府によって認められなくなったが、実際には住民が以前と同じように、慣習林から落葉を採取することを政府が容認していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小課題1から2の課題に関しておおむね順調に進んでいる。文献調査および、インドネシアおよびブータンの現地にて、行政官、地域住民、NGOに対して聞き取り調査を行い、両国における慣習林の概要が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1に関して、ブータンの事例を、林業経済学会誌(日本語)に投稿する。また、引き続き現地での調査を実施し、国際英語誌への投稿準備をする。インドネシアについては、国際英文誌への投稿準備をする。課題2に関しては、引き続き両国の慣習林政策の動向を把握する。課題3に関しては、国際労働機関(ILO)で議論されている先住民や地域住民の権利に関する状況を把握する。
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