2020 Fiscal Year Research-status Report
The Study on New Supply and Demand System of OLF Concidering Mutual Complementation between Farming and Fishing Villages
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19K12445
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 義文 九州大学, 農学研究院, 准教授 (60392578)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 新技術抵抗理論 / 濃縮液肥 / 漁場散布 / 合意形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の研究目的は,農業協同組合・漁業協同組合・農家・漁家へのヒアリング調査であったが,コロナ過のため,部会などの開催が行われなかったため,行政を介した形での漁家・農家へのアンケート調査の説明会を開催することができなかった。 そのため,もう一つの研究課題で会ったコロナ過の影響を受けないインターネットアンケート調査(液肥を利用した水産物への購買行動評価)を行った。インターネット消費者調査では,昨年度のヒアリング調査結果を参考にアンケート票を作成し,「液肥を漁場散布することへの可否」,「海洋生態系問題に対する意識」,「貧栄養化や磯焼け問題に対する理解度」,「液肥が場散布されたのちの漁獲物に対する抵抗感」などを含めたアンケート調査を実施し,大都市圏(東京・大阪・福岡)から2,000サンプルを採取した。 液肥の漁場散布は,少数の事例はあるものの一般的には公になっていることはないため,想定通り消費者の何割かは抵抗を示すしていた。そのため,近年欧米のジャーナルで新技術が受け入れられない要因を分析するために開発されたIR理論(Innovation Resistance Theory:新技術抵抗理論)を用いたモデルを組んで分析を行っている。新商品に対する消費者の根本的な抵抗感を明らかにし,行政サイドで解決できる問題から漁家サイドの抵抗感軽減につながるあぷろーと案を提案している。 本研究成果は,2021年度の秋期学会で口頭報告をし,同時に英文ジャーナル投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ過により,行政側を介して漁家・農家側をそれぞれ集めて説明会を行うことが長期間できなかったため,漁家・農家側に対してのアンケート調査を実施することができなかった。漁家・農家調査は2020年度の主要な研究目的の1つであったが,前年度の報告書にも示したように,もう一つの課題であるインターネットアンケート調査を実施し,液肥を用いて(液肥の漁場散布という新たな試みによって)生産された水産物に対する消費者評価を行った。 消費者は大きく4つのセグメントに分かれた。特に,無条件で新技術(濃縮液肥を用いた農産物)に抵抗感を示す消費者層(30%強)がいる反面,30%弱は栄養素不足に陥る漁場環境問題などを理解し,受け入れる消費者層もいることが明らかとなった。次年度は上記IRTモデルの分析結果を加味した改良版アンケート調査を農家側と漁家側に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,インターネットアンケート調査で得られたIRT(イノベーション抵抗理論)モデルの分析結果を加えた形でANPのアンケート票を改良させ,行政を介して農家・漁家サイドの説明会・アンケート調査を実施する予定である。また,液肥の漁場散布の合意形成を阻害する要因を明らかにし,その要因を解決するための対策案を提示することを目標にする。
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Causes of Carryover |
コロナ過により,対応できなかった2020年度分の漁家・農家側へのアンケート調査を実施するとともに,2020年度の研究成果を国内学会,国際学会の2つで報告する予定である。 また,漁家・農家側へのアンケート調査もサンプル数を増やして対応する予定である。
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