2021 Fiscal Year Research-status Report
The Study on New Supply and Demand System of OLF Concidering Mutual Complementation between Farming and Fishing Villages
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19K12445
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 義文 九州大学, 農学研究院, 准教授 (60392578)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イノベーション抵抗理論 / 濃縮液肥 / 有機性資源廃棄物 / 合意形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的は、有機液肥(有機性廃棄物を由来としたメタン発酵消化液)の新たな需給システムを構築することである。そのために、有機液肥の散布先である農場・漁場の利用者(生産者)の理解を得る必要があり、有機液肥を用いて生産された農産物・水産物を消費者が購入してくれることが前提条件である(生産者は消費者が敬遠するような農産物・水産物の生産方法を選択しないため)。 そこで2021年度は、2020年度に実施したアンケート調査結果の分析を進め、分析結果の解釈の妥当性を検証するため、農協・漁協への補足調査を行った。 今年度の研究実績は主に3点ある。まず、第一に、条件付きロジットによる有機液肥を用いた生産物の消費者評価を行った。JAS認証の有機ほどではないが、通常のスーパー等で販売されている慣行栽培や特別栽培の生産物よりも高く評価され、有機液肥の原材料や産地なども評価に影響を与えていた。第二、有機液肥の原材料に注目し、消費者にとってどの原材料を元にした有機肥料で生産された生産物が好ましいかをラテントクラスモデルで明らかにした。その結果、標本母集団は3セグメントに分かれ、有機液肥を利用した生産物を購入しても良いとする消費者が31.6~59.5%いることが明らかとなった。この結果は、2021年に別途実施した有機液肥の利用意向調査の希望数値(「有機液肥を用いた生産物を何割の消費者が購入してくれたら、有機液肥を使用しても良いですか?」という質問に対する回答)と近い数値であることから、生産者の有機液肥利用を促すための有益な情報である。第三に、新技術を導入した生産物に対し、消費者は抵抗感を示すことが過去の研究例からも明らかにされている。このような抵抗感を理論的に明らかにするために、イノベーション抵抗理論を用いて、濃縮有機液肥を散布した生産物に対する消費者の抵抗要因を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の評価は、研究の進捗状況と研究成果の点から「おおむね良好」とした。 まず、進捗状況について説明する。2021年度もコロナ禍ではあったが、アンケート調査結果の分析および分析結果の妥当性を検証するための補足調査を行うことができた。また、次年度につながる調査手続きも進めており、進捗状況はおおむね良好である。 次に、研究成果について説明する。2020年~2021年度の研究成果として、査読付き国際誌(Journal of Agricultural Science)と英文紀要に各1報ずつ投稿し、受理されている。また、査読付き和文誌にも投稿し、現在査読中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、現地聞き取り調査を継続して行い、生産者サイドへのアンケート調査の手続きを進めていく(生産現場の自治体または農協・漁協を通じて郵送法での実施を第一に考えているが、コロナ対策等で実施が困難な場合は、代替案としてインターネットを通して実施する予定である)。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため生産現場での聞き取り調査等の手続きが円滑に行えなかったため。
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Research Products
(2 results)