2019 Fiscal Year Research-status Report
Future of Decentralized Rural Electrification Using Solar Photovoltaic Energy: Case Study in Bangladesh
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19K12446
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小松 悟 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (80553560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大床 太郎 獨協大学, 経済学部, 准教授 (40584579)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 太陽光発電 / 農村電化 / 便益評価 / 持続可能な開発 / バングラデシュ / 政策評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではSHS(Solar Home Systems)と呼ばれる住居用太陽光発電設備を導入した住民に対して、送電線網が普及した際の生活へのインパクトを評価することを目指す。研究目的達成にむけ、令和元年度は初年度ということもあり、分析方法や先行研究の検討及び、これまでに集めたデータを基とした分析を行った。過去のデータを基に分析を実施したところ、家電製品の利用という観点では生活改善の効果は示唆されたものの、教育・経済状況に関する指標の改善が得られていないことを示唆している。つまり、教育・健康に限定すれば、送電線網の普及が進んだとしても、公共政策として望ましい効果は得られていない可能性を示した。 また本研究ではSHSに対する潜在需要分析を行うことを予定している。貧困非電化地域であり、同時に送電線網普及が困難なバングラデシュ南部の島嶼部を対象としている。住民に対してある一定の規模・購入価格のSHSに対して、事業者・支払頻度・支払期間・定期的メンテナンス・事故や風水害に対する補償・友人や親族からの口コミ・電灯数・バッテリー容量・携帯電話充電器の有無といった属性を設定し、仮にSHSを購入する場合にはどのような属性を重要視するのかを評価する。この目的のため、将来的にわたって送電線網が普及が予想されてない1069村落を抽出し、調査実施の可能性について検討を行った。更に農村非電化地域で適用可能な実験手法について、共同研究者と検討を行った。 更に令和元年度には、アフリカやインドにおける太陽光発電を利用した農村電化事業について先行研究のレビューを行った。例えばモロッコでは送電線網を利用した電化への需要が強く、太陽光発電普及事業が阻害されていることを確認している。更にバングラデシュから招へいした共同研究者とも本研究の進め方について議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、これまで集められたデータを分析するとともに、共同研究者の招へいを通じた研究打合せ、更にはバングラデシュだけではなく他国の事例を評価した。令和2年度以降のバングラデシュでの調査に向け、貴重な情報を把握することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定であれば、令和2年度はバングラデシュ農村部において、太陽光発電を利用した電化方法に関する潜在需要調査を実施する予定であった。しかし新型コロナウイルス蔓延の影響もあり、海外出張のめどが全く立たない状況である。よって調査ができる状況になれば迅速に海外渡航ができるよう準備するとともに、これまで得たデータを使った論文の執筆、共同研究者を含めた国内研究者との研究打合せ、学会や研究会を通じた情報収集、国内の農村地域の持続可能な開発の事例の分析、といった活動を進めることで、少しでも研究目的を達成するように努めていくこととしている。
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Causes of Carryover |
令和元年度はデータ分析、共同研究者との打ち合わせ、先行研究の調査を中心に実施したため。令和2年度にバングラデシュでの調査を予定しており、海外調査経費に充てることを想定している。
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