2021 Fiscal Year Research-status Report
tudy on Spread and Local Revitalization of Renewable Energy in the Kyushu Region
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19K12449
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
芳賀 普隆 長崎県立大学, 地域創造学部, 講師 (60575794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 聖 長崎県立大学, 地域創造学部, 講師 (10719032)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地方自治体 / 再生可能エネルギー / 事業運営 / 地域新電力 / 公民協働 / ステークホルダー / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究実績としては、第1に、海外向けに英語にて論文公表及び国際発表を行ったことである。"GARI International Journal of Multidisciplinary Research”, Vol.7,No.2, 30th of June,2021において、石田聖・公共政策学科講師(2022年度から准教授)との共同発表、芳賀が筆頭発表者として、5つのコレクティブ・インパクト(CI)の基準に基づく地域新電力の考察に関して、英語の投稿論文が掲載された。また、2021年11月に、8th Sustainable Development Conference[SDC2021]において、地域新電力の活用・以降に関するステークホルダーの関与に関する経験と教訓に関し、長崎県の離島の例をもとに、英語にてオンライン発表を行った。 第2に、『地方政治研究・地域政治研究』 第8巻、2021年12月、査読付き【議会・行政報告】)に論文が掲載された。本稿では、西九州させぼ広域都市圏を事例に、文献・インタビュー調査を基に新電力導入の現状と課題を概観し、市民参加型の電力消費を促すためのインセンティブ構築の方向性について紹介した。 第3に、各地における地域新電力の事業運営やガバナンス、ステークホルダー関係に関し、日本公共政策学会、地域活性学会、日本公共政策学会関西支部、地域活性学会九州沖縄支部で研究発表を行った。た、 第4に、『長崎県立大学論集』55巻3号では、熊本県小国町を事例に、中山間農村地域でエネルギー事業を行う意義や目的、ステークホルダー間の関係、個々の運営主体の役割について検討した。続いて地域新電力の出資団体であるステークホルダー(特に金融機関や協同組合)の位置づけ、地域住民や企業の参加等、地元の関与状況を踏まえ、地域エネルギー事業におけるガバナンスのあり方を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年目(2021)年度は、長崎県を含む九州北部と比較対象としての静岡県浜松市などに関して、地域新電力の視点から再生可能エネルギーの事業運営状況や事業運営推進体制、ガバナンス形成の現状、事業運営に携わるステークホルダーの関係について、主に地域新電力会社や自治体関係者に対してオンラインでの聞き取り調査を行った。 当初計画していた現地への移動を伴うヒアリング調査や長期調査は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響によりできなかったが、九州地方の研究という原点に立ち返り、可能な範囲で聞き取り調査を行い、国内外の学会発表や論文投稿につなげたということで、順調に進んでいると思料する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度(2021年度)は、科研費最終年度であること、また過去3年の経験も踏まえて知見や情報を活かしながら、九州各地(長崎県内、福岡、大分、宮崎、鹿児島など)の地域新電力、自治体新電力の取り組みに焦点を当て、再生可能エネルギーの事業運営状況や推進体制、ガバナンス形成、ステークホルダー間の公民協働の現状について、オンラインでの聞き取りも交えた実態調査を引き続き行う。また、浜松市など他の先進地域の事例にも引き続き着目し、比較するなど、上記の調査を行うことにより、以下の点について明らかにしたい。 第1に、九州各地の地域新電力、自治体新電力の取り組みの調査を踏まえて、大企業の子会社による運営、自治体主導型、ステークホルダーが数十あるタイプ、企業主導型、市民電力による運営など、エネルギー事業運営に関する類型化を図り、その特徴づけを行うとともに、事業運営形態の違いとステークホルダーの公民協働のあり方との関連、について検討する。 第2に、地方自治体においても非常用電源確など防災等のレジリエンスの視点や、エネルギーの地産地消を活かしての地域支援など、地域の付加価値を高める事業や取組も併せて行っていることから、エネルギー事業と防災の視点や地域振興・活性化との関連についても深めていく。また、社会的企業としての地域新電力の視点にも着目していく。 第3に、再生可能エネルギー普及と併せて、電力供給の実態やあり方についても引き続き研究を行う。 これらの分析を通じて、地域特性を踏まえた再生可能エネルギー事業経営の地域モデル化や地域エネルギーガバナンスのあり方に関する類型化を図るとともに、昨今の国際的なエネルギー情勢の急激な変化が生じている中で、地域エネルギーガバナンスや再生可能エネルギーによる地域支援、地域イノベーションの創出につながるための条件について整理し、政策提言を行い、4年間の成果としたい。
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Causes of Carryover |
3年目(2021年度)は、当初、分析対象の九州各地及び比較対象地域における現地での聞き取り調査、国内学会及び国際会議発表に際しての旅費や学会参加費に用いる予定であったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響や、梅雨前線や台風、大雪などの荒天によりできなかった。 4年目(2020年度)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響による延期に伴い、データ、資料収集に際しての文献・資料に関する複写のコピー代として使用する。また、静岡県浜松市や神奈川県小田原市への地域新電力及び再生可能エネルギー調査、基礎資料作成のための調査、オンラインを含む国内学会及び国際会議発表に際しての参加費、国内外に投稿する論文投稿料に用いる予定である。 消耗品費に関しては、基礎文献としての書籍購入、データ加工の打ち出しや現地調査資料の作成、学会発表資料や論文作成過程におけるプリンター用紙、現地でのデータ、さらに、データや資料整理を行う際の謝金にも充てる予定である。
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Research Products
(7 results)