2023 Fiscal Year Annual Research Report
tudy on Spread and Local Revitalization of Renewable Energy in the Kyushu Region
Project/Area Number |
19K12449
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
芳賀 普隆 長崎県立大学, 地域創造学部, 准教授 (60575794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 聖 長崎県立大学, 地域創造学部, 准教授 (10719032)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 事業経営 / 地域新電力 / 再生可能エネルギー / 地域エネルギーガバナンス / ステークホルダー |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究実績としては、第1に、2023年7月に日本地方政治学会・日本地域政治学会、2023年9月に日本地域政策学会九州沖縄支部 研究報告会において学会発表を行った。 第2に、鹿児島県内で地域新電力設置自治体に対して、再生可能エネルギー事業の運営状況や事業推進体制、ガバナンス形成の現状、事業運営に携わるステークホルダーに関する対面での聞き取り調査を行った。 本研究は、九州地方を中心に、再生可能エネルギーの普及と地域活性化について取り組んだ。とりわけ、地域エネルギーガバナンスの視点を考察するために、地域新電力に焦点を当てて調査研究を重ねてきた。その結果、地域新電力の事業運営における地方自治体の役割としては、事業体の経営の安定化と電源調達、地方自治体における関心強化、問題意識や行政組織内部やステークホルダー間の情報共有による住民への説明責任を果たす必要がある。また、地域新電力は「エネルギー地産地消」をアピールしているものの、その多くはJEPX(日本卸電力取引所)からの電源調達に依存する側面もある他、聞き取り調査からは電力価格高騰に苦しむ新電力もあったことから、JEPXに依存しない経営、出資自治体の判断も重要である。 さらに、新電力の中には、政府の補助事業(主に経産省、環境省系)がなければ実質的に運営が厳しい事業も多く確認された。九州地方でも再エネや脱炭素に力を入れている自治体はあるが、新電力もマンパワー不足が課題であるため、市町村を支援する体制整備も重要である。さらに、スキーム構築においては、自治体の専門職員自身が行っているケースが少なく、コンサルや出資先の企業などに依存傾向にある。持続可能な地域エネルギーガバナンスを考えた場合、現時点では再エネの産業化には程遠いこと、地域イノベーションを波及させるには、課題、目標共有と自走できる事業経営の安定化が求められる。
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