2019 Fiscal Year Research-status Report
環境都市政策に対する市民の認知度および環境配慮行動の評価と促進
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19K12451
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
伊藤 博 名古屋商科大学, 経済学部, 教授 (10705908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河内 幾帆 金沢大学, GS教育系, 准教授 (90818155)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒアリング / インタビュー / アンケート / 論文投稿 / 論文発表 / 文献研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究実地計画における目標は、環境政策およびソーシャルマーケティングに関連する文献研究の他、SDGs未来都市をはじめとする環境都市の行政担当者およびそのほかのステークホルダーに、それぞれの都市が行なっている環境政策についてヒアリングを行い、環境政策の評価促進に関する具体的な研究調査の可能性を模索することであった。 結果として、以下の環境都市にヒアリングを行なった。富山市、島根県、浜田市、浜松市、ニセコ町、つくば市、堺市、横浜市、志摩市、長野県、鎌倉市の計、11都市である。浜松市、つくば市に関しては遠隔で書面によるヒアリングを行なった。中でも富山市および横浜市に関しては、共同で研究調査を行うことになった。富山市に関しては、特にライトレールトランジットをはじめとする交通分野での調査を行うこととし、アンケート質問票を作成中である。横浜市からはスノーボール方式でステークホルダーの方々を紹介していただき、すでに質的調査を行い、横浜市が看板に掲げている「環境絵日記」に関する論文を2本書き上げ、国際学術誌「Environmental Education Research」および「Regional Studies, Regional Science」に投稿中である。 また、同じくSDGs未来都市である豊田市のエコポイントに関する論文「Expanding the prevailing behavioral model in a social marketing context: A case study of an eco-point system to promote eco-policies in Toyota City, Japan」を国際学術誌「Journal of Nonprofit & Public Sector Marketing」に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は計3年で8程度の環境都市の環境政策の評価推進に関する調査研究を、ソーシャルマーケティングのアプローチを使って深く行う予定であったが、2019年にSDGs未来都市の数が急増したこともあり(2018年度の29都市から60都市へ)、なるべく多くの環境都市を周り、SDGs未来都市全体の評価促進調査研究を行い、その中でいくつかの都市(富山市や横浜市)をモデル調査研究都市として深く研究することとした。「研究実績の概要」にあるように1年目で、11の環境都市にヒアリングを行い、豊田市の環境政策に関する論文を国際学術誌に掲載し、横浜市の環境政策に関する論文を2本、国際学術誌に投稿できている現状は、当初の予定がおおむね順調に進展していると言える。また富山市の交通分野における研究調査の文献研究もほぼ終わっており、今年度の前期には富山市民を対象としたアンケート調査に踏み切ることができる状態にあることも、準備が順調に進んでいることの現れと言えよう。と同時に、新型コロナウイルスの蔓延による、特に県をまたぐ外出・出張を自粛する動きがある中で、3月以降に行う予定だったヒアリング調査は全てキャンセルとなり、今後もある程度、訪問する環境都市の数を絞る必要性が出てくる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」にも書いたように、新型コロナウイルスの蔓延による、特に県をまたぐ外出・出張を自粛する動きがある中、市役所などを直接訪問するヒアリングの方はしばらく中断せざる負えない可能性がある。したがって、今年度の前期にできる、そしてやるべきことは富山市の交通分野におけるアンケート調査を行い、論文執筆に向けて準備することである。また、オンラインで可能なインタビューなどを通して、調査研究を進める可能性についても模索していきたいと考えている。
当初は、豊田市、横浜市、富山市の他、もういくつかのモデル都市となるべき環境都市の調査研究を深く行いたいと考えており、現在もそうしたいという意向に変わりないが、やはりヒアリング調査を続行し、調査研究に協力してもらえる都市を発掘してからでないと、相互的且つ持続可能な成果は得られないと考えられる。新型コロナウイルスの状況が好転せず、今後が見通せない現在、対面訪問を前提としたヒアリングのアポイントを取ろうとすることは不可能であるため、コロナの状況を静観するしかないというのが現状である。そこである程度面識のあるステークホルダーに対しては、オンラインでインタビューなどを行い、少しでも調査研究を進めていく所存である。
最終的には、SDGs未来都市を中心とした環境都市全体の環境政策の評価・推進に関してソーシャルマーケティングのフレームワークを使ったモデル開発研究を行い、学術誌への掲載や学会などで発表を行いたいという当初の目標に揺らぎはない。新型コロナウイルスの状況を吟味しながら、状況がよくなり次第、そのほかのSDGs未来都市などにアポイントのメールを送り、ヒアリングを続行する中で、SDGs未来都市全体の環境政策の評価推進研究を行うと共に、豊田市、横浜市、富山市に続くモデル都市となる研究対象の発掘に注力していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
主にヒアリングのための「旅費」に関しては、大部分を勤務先の大学の研究費から負担した。また、新型コロナウイルスのため3月以降に予定していたヒアリングをキャンセルしたことも、旅費が予定より少なかった原因の一つである。「その他」の項目に含まれる「アンケート調査費用」や「論文校正費用」であるが、該当年度であるR1年度は、大規模なアンケート調査ではなく、質的調査を重点的に行い、また論文の発表も1本のみであったため、多くを次年度に繰越すこととなった。次年度であるR2年度では、富山市の交通分野における調査および論文執筆、横浜市の環境絵日記の論文校正費用などで、「その他」の部分の費用が多くなると予想される。
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Research Products
(1 results)