2020 Fiscal Year Research-status Report
流域ガバナンスにおける環境再生への政策転換:政策過程分析による新展開
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19K12458
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大野 智彦 金沢大学, 法学系, 准教授 (30531884)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アドボカシー連合フレームワーク / 荒瀬ダム / 球磨川 / 川辺川ダム / 政策過程 / 流域ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナウイルスの影響によって比較事例研究のための現地調査を行うことができなかったので、既に収集済みのデータの分析や、政策過程分析のフレームワークに関する検討を行った。 このうち、荒瀬ダム撤去の政策過程に関する収集済みのデータを用いた分析は、前年度に実施した日本行政学会2019年大会での報告と議論を踏まえて英語論文にまとめ、投稿することができた(査読中)。また、政策過程分析のフレームワークに関する検討については、ガバナンスの動態を分析する上で有効な枠組みだと本研究が位置付けているアドボカシー連合フレームワーク(Advocacy Coalition Framework)に関する日本国内の研究状況と課題、また、それらを踏まえた上でフレームワーク自体の修正点などを英語でのレビュー論文にまとめ、投稿することができた(査読中)。 また、2020年7月には本研究課題の主要な対象地である熊本県球磨川で大規模な水害が発生し、その後、川辺川ダムを建設する方針が打ち出された。これは、流域における政策転換や政策過程分析を主なテーマとする本研究課題を実施する上で重要な課題であり、当初目的にしていたダム撤去の政策過程を考える上でも重要だと考え、予定にはなかったが新たに熊本県民に対するウェブモニター調査を実施した。結果は現在分析中であるが、政策転換と自然災害、世論との関連を理解する上で重要な知見を導き出すことができ、本研究課題の目的の達成に役立つと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響によって、現地調査が実施できないなど、研究計画に遅れをきたしている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響は今後も継続すると思われるので、そのことを前提とした上で研究計画を再構成する必要がある。例えば、今年度実施したウェブモニター調査を継続して実施するなど、状況に応じて研究計画を変更して、研究目的を達成するようにしたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により現地調査等のために確保していた旅費が執行できなかった。次年度のコロナウイルスの状況に応じて旅費として執行するか、ウェブモニター調査やオンライン研究会の謝金などウイルス感染状況の影響を受けにくい代替的な手段に支出するか検討する。
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[Book] 流域ガバナンス2020
Author(s)
脇田 健一、谷内 茂雄、奥田 昇
Total Pages
470
Publisher
京都大学学術出版会
ISBN
9784814003037