2021 Fiscal Year Research-status Report
流域ガバナンスにおける環境再生への政策転換:政策過程分析による新展開
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19K12458
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大野 智彦 金沢大学, 法学系, 教授 (30531884)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 政策転換 / 政策過程 / 流域ガバナンス / アドボカシー連合フレームワーク / ダム撤去 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度も新型コロナウイルスの影響により、現地調査を通じた事例研究を進めることが困難であった。したがって、これまでの調査データの取りまとめや、分析フレームワークについての検討を中心に行った。 昨年度に投稿していた荒瀬ダム撤去の政策過程をアドボカシー連合フレームワークを用いて分析した論文については査読対応を行い、国際学術雑誌に受理された(印刷中)。同じく昨年度に投稿していたアドボカシー連合フレームワークの日本における適用状況に関する論文についても査読対応を行い、Review of Policy Research(39巻1号)に掲載された。以上の研究からは、複雑な流域ガバナンスを理解する上で、多様なアクターの関係性や問題認識に踏み込んだ分析を行うことができるアドボカシー連合フレームワークの有用性を示すことができた。 また、コロナウイルスの影響により現地調査が制約された中で研究目的を達成する代替的な方法として、昨年度に引き続き球磨川流域を対象としたオンラインアンケート調査を実施した。この調査では、ダム撤去や建設といった政策転換への支持がどのような要因に規定されているのかを明らかにすることを通じて、流域ガバナンスにおける政策転換への理解を深めることを目的としている。2021年度の調査をもってほぼ同じ調査設計で3時点のデータを収集することができたので、最終年度である2022年度にはその分析と論文化を進めていきたい。 そのほか、一連の研究成果の概要について一般向けに解説した論考を全国日本学士会会報『ACADEMIA』に執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響によって現地調査ができなかったことに加え、研究代表者が育児休業を約半年間取得したことに伴い、全般的に進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、状況に応じてこれまで行うことができなかった現地調査を実施し、事例研究を進めていきたい。俯瞰的な計量分析についてはデータセットの構築がやや遅れており、必要に応じて謝金による作業委託も活用しつつ、研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により現地調査が実施できなかったことに加え、研究代表者の育児休業取得に伴う研究中断期間があったため、次年度使用額が生じた。これらは現地調査の旅費としての使用を予定しているが、状況に応じて作業委託のための謝金や成果公表のための英文校閲費として効果的に使用する。
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Research Products
(2 results)