2021 Fiscal Year Research-status Report
公害経験の継承に向けた公害資料館の社会的機能の研究
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19K12464
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
清水 万由子 龍谷大学, 政策学部, 准教授 (60558154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 聡彦 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40202791)
清水 善仁 中央大学, 文学部, 准教授 (30437181)
除本 理史 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60317906)
林 美帆 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 客員研究員 (40833603)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 困難な歴史 / パブリック・ヒストリー / アーカイブ / 記憶の継承 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に(1)公害資料館の設立に向けて取り組む実践者へのオンライン・インタビュー、(2)公害経験を含む「困難な歴史」をめぐるパブリック・ヒストリー実践者へのオンライン・インタビューと文献精読、(3)研究成果の公表、に取り組んだ。 (1)は、福島県いわき市で「原子力災害考証館furusato」の設立過程と、岡山県倉敷市水島地区での公害資料館設立に向けた準備過程についてのインタビューを行った。いずれも、原子力災害や公害といった「困難な過去(歴史)」を定型的な語りにはめ込むことなく、様々な立場・視点から捉えることを促し、対話の場を取り入れた資料館づくりを目指したものである。公害資料館が継承すべき経験の幅広さと、伝える方法の多様さを示す事例であると考えられる。 (2)は、大学の授業で公害事件を扱う教員に、主体的な学習を促す授業計画の工夫についてのインタビューを行ったほか、災害や事故などの災禍の経験や戦争経験をめぐる継承活動についての文献精読から、「困難な歴史」としての公害経験と共通した継承の内容と方法があることが明らかになるとともに、公害経験独自の課題もあることがわかった。 (3)は、昨年度に『環境と公害』誌に掲載された論文をもとに、公開オンラインシンポジウムを開催した。公害資料館ネットワークとの共催で、6名のコメンテーターを招き、公害経験継承の課題や公害資料館の専門性について、新たな論点を確認することができた。また、これらの成果をもとに、和文書籍と英文書籍の刊行に向けて原稿作成を進めている。国内外に日本の公害経験を継承することの重要性とその実践について発信することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により、当初の計画は大幅に修正を迫られたが、幅広い文献精読とオンラインツールを使ったインタビューやシンポジウムを開催することができ、研究課題についてより考察を深めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年間延長し、和文・英文書籍の制作に取り組み、研究成果を発信する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により現地調査や研究会のための旅費を使用せず、オンラインで実施したため、未使用予算が生じた。また、研究分担者が関連する研究課題で研究助成金等の採択を受けたため、未使用予算が生じた。次年度は、研究成果の公表のために使用する。
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[Book] 公害スタディーズ2021
Author(s)
安藤 聡彦、林 美帆、丹野 春香
Total Pages
224
Publisher
ころから
ISBN
978-4-907239-54-1