2021 Fiscal Year Research-status Report
International Trade and Regulations/Standards
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19K12468
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
道田 悦代 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター環境・資源研究グループ, 研究グループ長代理 (10450529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 恒裕 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (40397633)
鍋嶋 郁 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (70720647)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 持続可能性 / スタンダード / 基準認証 / 貿易 / パーム油 / 非関税障壁 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、主に2つの研究を行った。 1つ目の研究として、パーム油持続可能性認証(RSPO)が貿易を通じて生産者に与える影響について検討を行った。民間の自主的な持続可能性認証は、先進国の購買力を利用して、途上国の持続可能性の取り組みに支援を行う仕組みである。先行研究ではケーススタディの研究蓄積が多いものの、ある国の生産者全体をみたときに、どのような属性の生産者が持続可能性認証を取得しているのかについての検討は、データの制約からあまり行われてこなかった。今年度は、RSPOという世界で最も認知されて市場シェアが高いパーム油認証に焦点をあて、マレーシア全国のあぶらやし農園の持続可能性認証取得のデータを用いて、2つの課題の検討を行った。第一に、認証油の主要な輸出先である欧州が生産者の認証取得に与える影響について検討した。第2に、上場企業は持続可能性に関する情報開示を求められ、その情報をもとに投資家が投資可否の判断をする、いわゆるESG投資の影響について検討した。結果は、第1の課題については、輸出先の影響は、最も農園から近い国際港からの距離が近いほど、また当該国際港からEU向け輸出量が多いほど認証取得確率が有意に高まった。第2の課題については、上場企業ではRSPO取得の確率が有意に高いことがわかった。分析内容を踏まえAPECのワークショップで発表を行った。
また、2つ目の研究として、非関税障壁についての研究も進めている。NTMデータを使い、貿易への影響を検討した。規制措置がextensive marginに負の影響を与えること、intensive marginについては、価格上昇の効果を数量減少効果が上回る結果が得られた。論文は学術雑誌に掲載済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は、遠隔でも入手可能なデータを用いて進めることができている。しかし、現地での調査を行うことができておらず、さらに分析内容を拡充したいと考えているが、進められていない状況もある。
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Strategy for Future Research Activity |
現地での調査が行えるようになれば、金融機関が農園の認証取得に与える影響や、農園の立地状況の違いで認証取得に影響があるのかについて、聞き取り調査を実施したい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で現地調査の実施ができていないため。調査が可能になれば実施したい。
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