2021 Fiscal Year Annual Research Report
The Reinterpritation of the Northeast Asian Cold War History by the ROK's Multilateral Diplomacy: Focusing on the Period of the End of Cold War
Project/Area Number |
19K12471
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木宮 正史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30221922)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 北方外交 / 冷戦の終焉 / 韓国外交 / 南北朝鮮関係 / 日韓関係 / 韓国大統領選挙 / 東アジア国際関係 / 北朝鮮 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍で海外出張ができなかったため、米韓の外交史料の新たな収集はできなかった。その代わり、従来収集した米韓の外交文書を整理する作業を行った。特に、冷戦の終焉を前後して、韓国が展開した北方外交について、実証的な分析を進めると共に、これを東アジア国際関係史の展開の中に位置づけることを試みた。具体的な研究成果は生まれてはいないが、1980年代は、日本の中曽根政権も、日韓関係を堅固なものにしながら、その基礎の上に積極的な対北朝鮮外交を模索した時期でもあった。日韓の対北朝鮮外交がどのような関係を持って展開されたのか、日韓の外交文書に対する分析から、ある程度明らかにした。 次に、2022年3月10日に第20代韓国大統領選挙が実施された。外交安保政策に関しては主要な政治的争点にはならなかったが、選挙の結果、保守の尹錫悦政権が成立した。それに伴い、従来、南北関係の改善を優先視し、そのためにも米中間での戦略的曖昧性を堅持した文在寅政権とは異なり、米韓同盟に軸を置く戦略的明確性に基づき、北朝鮮に対しても厳格な相互主義の原則を適用し、南北関係の改善よりも北朝鮮の非核化を優先する政策に転換する可能性が高まっている。そうした韓国の対米・対中・対北朝鮮外交に関して、その歴史的分析に立脚しながら現状分析を行った。これについては、韓国大統領選挙を分析した論稿によって研究実績が示された。 最後に、現在に至るまで、ここ数年の日韓関係は、広義の歴史問題に関する文在寅政権の「放置」政策によって緊張が高まった。こうした日韓関係の現状について、なぜ、こうした和解の試みが挫折したのか、さらに、そうした緊張関係を打開するための条件は何かについて、具体的な政策提言を含めて考察を加えた。 以上のように、冷戦の終焉後の朝鮮半島をめぐる政治、さらに、それと日本との関係について、実証分析と現状分析とを組み合わせた研究を推進した。
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Research Products
(19 results)