2021 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるベトナム人介護留学生急増の背景と受入の持続可能性に関する人類学的研究
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19K12475
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
比留間 洋一 静岡大学, 国際連携推進機構, 特任准教授 (30388219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 ゆかり 静岡県立大学, 経営情報学部, 講師 (60469484)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ベトナム人介護留学生 / 介護福祉士国家試験 / 外国人介護留学生 / 漢越語 / ベトナム看護 / 読解過程 / 留学生移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
主な研究業績は2019年度の研究成果を踏まえて2020年度と2021年度に実施したアクション・リサーチ「母語(ベトナム語)を用いた国家試験対策の補講」を通して、ベトナム人介護留学生の現状と課題について具体的実証的に明らかにしたことである。 1.背景:2020年度のA専門学校(調査協力校)の留学生における国家試験合格率(新卒者の受験者30人以上)は10%前後であった。 2.目的と方法:2020年度の結果から得られた知見を踏まえ、2021年度のアクション・リサーチを実施した。ベトナム人看護教員で日本の介護施設での就労経験もあるB氏を講師として、A専門学校のベトナム人留学生を対象に、オンライン勉強会(2021年8月~2021年12月、計16回)を行った。参加者の背景情報、勉強会時の観察データを収集した他、参加者16名にアンケート調査を依頼し7名から回答を得た。 3.結果と考察:国家試験合格率は2020年度より向上した。学校全体(留学生受験者)では22%で、特にアンケート回答者では7名中3名が合格した。収集したデータの解釈について共同研究者間で検討した結果、主に次の5つの示唆が得られた。①国家試験合格率の向上に対する効果について、アンケート結果等からオンライン勉強会に一定の効果があったこと、②学習意欲の向上に対する効果について、国家試験直前まで指導役の者が伴走し続けることの必要性、③国家試験の解答困難点の解明に対して、ベトナム語による読解・解答過程を録画して困難点について学際的に分析することの有効性、④ベトナムでの看護教育歴(留学生のみならず技能実習生にもベトナムの看護学校既卒者が少なくない)を活かした対策方法を検討する必要性、⑤問題文理解における漢越語(ベトナム語の中に豊富に含まれる中国語由来語)利用の有効性。
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