2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K12480
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
堀内 賢志 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (80329052)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ロシア / 極東地域 / 地域開発 / 経済特区 / 日露協力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題のうち、①極東地域開発の進捗状況に関しては、引き続き同地域に設置された経済特区(先進経済区、ウラジオストク自由港)を中心とした政策実施状況を分析した。パンデミック以前において、経済特区への外資の流入は続いていたが、中国の投資の増大が際立ち、また依然としてこうした政策が極東地域経済の自立的な発展につながっているとはいえない。ロシアの極東地域開発は、成長重視の方向性と社会政策的な方向性との軋轢の中で、合理性・一貫性が失われつつあるとも考えらえる。パンデミックはこの状況に拍車をかけている。 ②極東地域開発における各政策主体の活動と連携関係に関しては、現地調査を行っていないこともあり十分な分析ができていないが、2020年にハバロフスク地方で生じたような中央・地方関係の混乱は収拾され、秩序は回復しているようである。 ③アジア太平洋諸国との協力については、近年のロシアの東方政策においては「アジア太平洋」より、「大ユーラシア」に力点が移り、ユーラシアを中心とする非欧米諸国とのFTA等を通じた経済連携がより重視されるようになっていた。それを反映して、極東地域の経済特区への投資も中国、ベトナム、インドといった国々がより存在感を増していた。日本ではロシアとの領土問題に進展がなく、対露協力を促していた安倍政権が退陣したしたこともあり、日露経済協力における政治的な推進力は低下した。日本の企業レベルの対ロシア進出はある程度定着しつつあったが、その存在感は低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルスの感染拡大のため、2019年度後半以降ロシアにおける現地調査ができない状態にある。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルスの感染拡大により2019年度後半以降ロシアにおける現地調査ができない状態にあったことに加え、2022年2月からのロシアのウクライナ侵攻によりロシアに入国できない状況がより長期的なものとなる可能性が生じている。現地調査を行わずとも得られる情報を最大限収集・活用すると同時に、ロシア以外の入国可能な国々で調査を行うなど、研究の方法自体の根本的な変更を検討していく。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの感染拡大のため、予定していた現地調査が2019年度後半以降できなくなっており、出張経費として計上していた予算が消化されない状況になっているため。
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